スマホと急性内斜視
- 2月16日、年に1度の北海道眼科医会総会が開催され、これに先立ち、札幌医大眼科講師の川田浩克先生が「斜視診療の実際」と題しご講演されました。
- ご講演の中で、テレビ番組やニュースで取り上げられ最近話題の「スマートフォンが原因と推測される急性内斜視」についても解説されました。
- ある日突然、両目が内側に向いたままとなり、物が二つに見える急性内斜視を発症する小・中学生が増えているようです。
- 急性内斜視の報告は古く、1992年までさかのぼります。1989年のアメリカからの6症例の報告では、急性内斜視は稀な疾患であると記載されています。
- 最近注目されるきっかけとなったのは、2016年の韓国全南大学病院からの報告です。
- この研究では2009年1月から2014年6月の4年5か月間に、7歳から12歳の12例が急性内斜視と診断されました。
- 全例、1日4時間以上のスマホ使用(平均6時間)を少なくとも4か月以上(平均10か月)、しかも30センチ以内の距離で画面を見続けていました。
- スマホの使用を中止すると、全例で内斜視の程度が改善しましたが、正常な状態には戻りませんでした。
- 5例は手術が必要と判断されました(2例は手術を拒否したそうです)。
- 手元にピントを合わせる時、両眼は輻湊(ふくそう)といって少し内側に寄ります。遠くを見る時は輻湊が解除されるので、内側に寄っていた眼が真ん中に戻ります。
- スマホの乱用により、遠くを見ようとしても輻輳が解除されず、急性内斜視が生じるのではと推測されています。
- 若い人では輻輳の反応が強く現れる傾向にあり、輻湊が続くと解除され難くなり、急性内斜視が生じる可能性があるようです。
- ご講演くださった川田先生の症例も、手術が必要になるケースが多いとのことでした。
- 手術が必要となると、患者さんにとってもご家族にとっても大変な負担です。
- スマホは大変便利ですが、急性内斜視にならないように、上手く使用する方法を指導することが大切かと思います。
カテゴリー
- お知らせ (11)
- ブログ (462)
- iPS細胞 (19)
- IT眼症 (9)
- OCTアンギオ (9)
- アルツハイマー病 (8)
- アレルギー性結膜炎 (5)
- お困りごと解決情報 (17)
- こんな症状が出たら (35)
- サプリメント (15)
- スタッフから (5)
- ドライアイ (17)
- 中心性漿液性網脈絡膜症 (2)
- 人工知能(AI) (15)
- 加齢黄斑変性 (114)
- 外斜視 (1)
- 抗がん剤による眼障害 (2)
- 白内障 (25)
- 看護からのお知らせ (1)
- 眼精疲労 (12)
- 糖尿病網膜症 (55)
- 紫外線 (2)
- 紫外線、ブルーライト (6)
- 網膜前膜 (3)
- 網膜剥離 (17)
- 網膜動脈閉塞 (8)
- 網膜色素変性症 (7)
- 網膜静脈閉塞 (14)
- 緑内障 (33)
- 色覚多様性 (2)
- 講演会 (28)
- 近況報告 (85)
- 近視予防 (42)
- 飛蚊症・光視症 (16)
- 黄斑円孔 (5)
- 黄斑前膜 (3)
- 未分類 (11)
アーカイブ
最新の記事
- 2026.5.24
- 網膜の神経を守る“縁の下の力持ち” ― ミュラー細胞と新しい網膜保護の考え方
- 2026.5.16
- 「治療を休むと戻らない」―糖尿病黄斑浮腫で本当に怖いこと―
- 2026.5.14
- 眼瞼下垂に対するアップニーク®ミニ点眼液について
- 2026.5.9
- 「高い枕は目に良い?」― 緑内障と寝る姿勢の意外な関係
- 2026.5.4
- 5月1日、開業から10年が経ちました
- 2026.4.20
- 令和8年5月20日(水)診療について
- 2026.4.19
- 「加齢黄斑変性は静かに増え続けている」―日本の大規模データが示した“見えない現実”―
- 2026.4.12
- 黄斑円孔の“特徴的なゆがみ”
- 2026.4.5
- 「目の検査で認知症がわかる?」最先端AI研究が示す新しい可能性
- 2026.3.29
- ご依頼いただいた原稿が「眼科ケア 4月号」掲載されました



理事長・院長