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2024.9.5 ブログ
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眼の構造はカメラに似ています。眼の中にもカメラのように凸レンズがあり、水晶体と呼んでいます。水晶体が濁ってくる病気が白内障です。白内障になると、かすみ、ぼやけ、まぶしさ、視力低下などの症状がでます。白内障の原因は加齢によるものが最も多く、アトピー性皮膚炎や糖尿病などの全身疾患、ステロイドなどの薬物による副作用、外傷によっても白内障は起こります。
白内障の程度が軽度の場合は経過観察します。 日常生活に支障が出る程度に白内障が進行すれば、手術による治療を行うのが一般的です。手術する時期は人によって違いますので、医師とご相談下さい。
白内障手術は、手術方法や機器の進歩により、安全かつ正確に行うことができるようになってきました。手術は通常、眼の部分だけの局所麻酔で行います。手術中、痛みはほとんどなく、意識がありますので、医師やスタッフの声も聞こえますし、会話もできます。緊張される方が大変多いのですが、声をかけながら手術が行いますので、リラックスして手術を受けて下さい。
手術は顕微鏡を使用して行います。傷口は約2~2.5mmと非常に小さく、水晶体の濁りを取った後、眼内レンズを挿入します。手術時間は特に問題がなければ10~20分程度で終了します。眼内レンズは、取り除いた水晶体の代わりに、ピントを合わせる働きをします。移植した眼内レンズによる異物感はなく、コンタクトレンズとは違い、取り外しをする必要もありません。 一度挿入すれば、半永久的に使用できます。
眼内レンズとは、白内障手術で濁った水晶体の代わりに眼の中に挿入する人工のレンズです。
眼内レンズが開発されたきっかけは、第二次世界大戦中のある出来事でした。イギリス軍の戦闘機が被弾して操縦席の窓が割れ、その破片がパイロットの眼に刺さってしまいました。それを取り出すことができず放置したのですが、感染症等を起こさず眼の中に存在し続けたのです。これをヒントに眼内レンズが開発されました。この操縦席の窓の素材が、PMMAと呼ばれるプラスチック、いわゆる硬いアクリル樹脂でしたので、最初に開発された眼内レンズの素材はPMMAでした。PMMA のレンズは、硬く折り曲げることができず、眼内に挿入するために6?10㎜の創口を作る必要がありました。その後、折り畳んで小さい創口から挿入できる柔らかい素材の眼内レンズが開発されました。最初はシリコンと呼ばれる柔らかい材料が使われましたが、現在はさらに進化した柔らかいアクリル素材が主流となっています。これにより現在では2~3㎜の小さな創口で白内障手術を終えることができます。
多焦点眼内レンズは、遠くと近くが見える遠近両用の眼内レンズです。2007年に厚生労働省の承認を受け、2008年7月に先進医療として承認されました。多焦点眼内レンズの挿入により、眼鏡が不要な生活や、眼鏡の使用頻度を減らす事ができます。
多焦点眼内レンズを理解しやすいように、まず「調節」について説明します。「調節」とは、近くや遠くの物にピントを合わせる眼の働きのことです。水晶体(眼の中の凸レンズ)に接している毛様体の筋肉が収縮・弛緩することにより、水晶体の厚さが増減し、ピントの合う物体までの距離が変化します。調節力は加齢に伴い低下します。調節力の低下により手元にピントが合いにくくなった状態が老視(老眼)です。
眼内レンズは水晶体と違い、眼内レンズの厚みは変化しませんので、白内障手術後、本来の「調節力」は失われます。しかし、毛様体の筋肉が収縮・弛緩することにより眼内レンズの位置が微細に変化することなどにより、60歳以降の方と同程度の「調節力」を得ることができ、偽調節と呼んでいます。
白内障によって濁った水晶体を摘出し、その代わりに挿入する眼内レンズは、今までは単焦点眼内レンズ(いわゆる眼内レンズ)のみでした。単焦点眼内レンズは、眼鏡のレンズのようにいろいろな度数があります。遠くにピントが合うような度数の眼内レンズを移植すると、遠くは眼鏡がなくても見えますが、手元は老眼となり、近用眼鏡が必要となります。手元にピントが合うような度数の眼内レンズを移植すると、遠くを見る時は遠用眼鏡が必要となります。若い頃のように見たいすべての距離にピントを合わせることは不可能で、ほとんどの場合、眼鏡が必要となります。例えば、遠くが見えるような度数の単焦点眼内レンズを挿入した患者様は、車の運転やゴルフは眼鏡なしで可能ですが、近くの字を読みたい時、スコアカードを見たい時には近用眼鏡が必要です。
多焦点眼内レンズは、遠距離と近距離にピントが合うように設計されており、 従来の単焦点眼内レンズに比べ、遠くも近くも眼鏡なしでピントが合いやすくなります。ただし一般的に50センチから1メートル位の中間距離のピントがやや合いにくく、パソコン作業には眼鏡が必要となることがあります。また、長時間の読書(近くを見るような作業)や演劇・映画鑑賞(遠くの細かい物を見る作業)では、メガネをかけた方が楽な場合もあります。それでも見たい所やものの位置に合わせて、いくつもの眼鏡を用いたり、頻繁にかけはずしする必要は無くなります。
多焦点眼内レンズ挿入には、十分な適応検査が必要です。視力に影響をおよぼす眼疾患を合併している場合は、多焦点眼内レンズを挿入してもその効果が発揮できない可能性があります。具体的には緑内障による視野障害、黄斑変性症などの網膜硝子体疾患、角膜混濁がある場合は、適応とならない場合が多いです。また、眼鏡をかけることに問題のない患者様は、自費負担をして多焦点眼内レンズを選択しなくても、保険適応の単焦点眼内レンズで十分満足いただけます。
多焦点眼内レンズは高価なものであるため、見え方への期待が高くなります。術前の予想している見え方より、術後の見え方が悪いようであれば、不満を感じる患者様もいらっしゃると思います。まずは正確な情報を知って頂くことが重要です。ライフスタイルや性格も重要になってきます。
多焦点眼内レンズを挿入した場合、コントラストの落ちた状態で見えにくいことがあります。これは眼に入ってきた光を、多焦点眼内レンズが遠方と近方に分けるために生じる現象です。多くの場合、気になる程度ではありませんが、中には、全体的に膜がかかったような見えづらさを訴える患者様がいらっしゃいます。手術後、時間と共に、また両眼に多焦点眼内レンズを挿入することで、日常生活に影響するような問題を訴える方は少ないのですが、どうしても慣れない患者様には、単焦点眼内レンズへの交換などの対処が必要となる場合があります。
術直後は、薄暗い場所や夜にライトなどを見ると、光の輪やまぶしさを感じることが多いようです。徐々に改善していくようですが、術後数か月間は夜間の車の運転等には注意が必要です。
トーリック眼内レンズは、白内障手術に使う眼内レンズの1つで、乱視を減らす(矯正)ことのできる特殊な眼内レンズです。2009年に日本では承認され、乱視矯正機能をもたない従来の眼内レンズ(単焦点眼内レンズ)と同様に、保険適応としての手術が受けられます。このレンズでは軽度から中等度の乱視の矯正が可能です。ただし、このレンズが合っているか乱視の精密な検査が必要です。また乱視があっても、角膜の形状に問題がある場合はこのレンズでは乱視矯正ができない場合があります。