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白内障と骨折リスクの意外な関係:手術がもたらす“転ばぬ先の杖”

「白内障と骨折」、一見まったく関係のなさそうなこの2つの症状に、実は深いつながりがあることをご存じでしょうか?

近年、白内障が高齢者の転倒や骨折のリスクを高める可能性があるという研究が相次いで発表されています。そして今回、世界中の研究をまとめた大規模な調査が、この関係性をより明確に示しました。

今回は、Ophthalmology誌に掲載されたその調査結果を解説しながら、白内障手術の新たな価値についてもご紹介します。

白内障は、目の中の水晶体(レンズ)が濁ることで視力が低下する病気です。加齢に伴って発症することが多く、特に60代以降の人に多く見られます。

「ぼやけて見える」「まぶしく感じる」「二重に見える」

こうした症状が出てくると、日常生活に支障をきたすだけでなく、段差の見落としや障害物との接触が増え、転倒のリスクも上がると考えられています。

高齢者の骨折、特に股関節や脊椎の骨折は、寝たきりや介護状態につながる大きなリスクです。

たとえば、股関節を骨折するとそのまま入院やリハビリ、さらには生活の質の低下を招くことも。身体的な影響だけでなく、「外出が怖い」「もう歩けないかも」という不安やうつ状態に陥るケースも少なくありません。

今回ご紹介する研究では、1989年から2023年までに発表された世界中の16本の研究をまとめ、約471万人のデータを分析しています。その結果、以下のようなことがわかりました。

白内障がある人は、白内障がない人に比べて骨折リスクが高くなる傾向がありました。

特に「発生頻度」を示すオッズ比では、白内障があると骨折リスクが1.5倍前後に上がることが明らかとなりました。

また、「早く骨折が起きやすいかどうか」を示すハザード比でも、白内障のある人は、骨折までの期間が短くなりやすい(早く骨折しやすい)傾向が確認されました。

では、白内障手術を受けると骨折のリスクは下がるのでしょうか?

答えは「YES」です。

研究では、白内障手術を受けた人は、白内障があるままの人に比べて、骨折リスクが約27%も低いことが分かりました。

それではなぜ、白内障手術が骨折を防ぐのでしょうか?

手術後の視力改善はもちろんですが、それだけではありません。

研究では、白内障手術には以下のような“副次的な良い効果”があると指摘されています。

・視界の明るさやコントラスト感度の改善

・バランス感覚の向上(片足立ちテストの成績向上など)

・認知機能の維持・改善

・うつ症状の軽減

これらはすべて、転倒や骨折の予防に大きく関わる要素です。

ただし注意点もあります。

白内障手術を片目だけ行った場合、左右の視力や屈折度数に差が出てしまい、かえってバランスを崩して転倒しやすくなるケースもあります。

ある研究では、手術と手術の間に転倒によるケガが急増したとの報告も。そのため、「両目同時手術」や「早期の2回目手術」が有効と考えられています。

この研究は非常に意義のあるものでしたが、いくつかの限界もあります。たとえば、

・多くの研究が自己申告ベースであること

・白内障の重症度や視力のデータが明記されていない

・認知症や骨粗鬆症との関連が十分に分析されていない

といった点は、今後のさらなる研究が必要とされる部分です。

白内障手術は、単に視力を良くするためだけのものではありません。

・「見えるようになることで、動けるようになる」

・「動けることで、転ばなくなる」

その結果として、「寝たきりを防ぐ」「介護を遅らせる」という、人生の質に直結する大きな効果をもたらす可能性があるのです。

これから白内障の手術を検討している方、またご家族がそうである方は、骨折予防という視点からも手術のタイミングを考えてみるとよいかもしれません。

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