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9か月に1回で視力を守る時代へ 糖尿病網膜症に登場した“埋め込み式”治療を解説

糖尿病網膜症は、糖尿病により網膜の血管が傷み、網膜のむくみや新生血管が生じることで視力が低下する病気です。世界では約1億人が罹患し、そのうち約500万人が失明に至っていると推計されます。

現在の主要な治療は、抗VEGF薬を目の中に月1回注射することです。高い効果がある一方、「頻回の眼内注射の負担」と「通院継続の難しさ」が大きな課題です。

本年5月22日、米国食品医薬品局(FDA)はSusvimo®(ラニビズマブ100mg/mL)を糖尿病網膜症の治療薬として承認しました。Susvimo®はリフィル式眼内インプラントで、9か月に1回の薬剤補充で視力を維持できる点が最大の特徴です。

Susvimo®は、米粒大(長さ約8 mm)のチタン製インプラントを日帰り手術で強膜に固定します。

インプラントの中に、高濃度ラニビズマブ(通常の10倍=100 mg/mL)を充填すると、インプラントの微細孔フィルターから薬剤が少しずつ硝子体へ拡散します。

眼科施設でインプラントのポートに針を挿し、9か月ごとに高濃度ラニビズマブを補充します。

Susvimo®に使用するラニビズマブ自体は、眼内注射に使用しているラニビズマブ(ルセンティス®)と同じ構造ですが、濃度が異なる専用品です。

Susvimo®の有用性と安全性を検証した第3相臨床治験(Pavilion試験)では、174例の糖尿病網膜症患者を対象となり、Susvimo群(9か月リフィル)が52週時点で糖尿病網膜症の重症度を有意に改善し、追加の眼内注射を受けた患者はゼロでした。対照群は月1回の診察のみで病勢進行時にルセンティス®の眼内注射が施行されました。

現在の米国添付文書では以下のような糖尿病網膜症が適応とされています。

・中心窩を含まない非増殖糖尿病網膜症(NPDR)または増殖型DR

・過去に抗VEGF注射を2回以上受け、効果を確認できた成人

・網膜症はあるが黄斑浮腫は伴わない

Susvimo®のメリットは、初回の小手術後は9か月に1回の補充で済むことです。

これにより、通院回数も減りますし、治療を継続しやすくなります。

治療継続率の向上は、治療の効果を最大限に引き出すことができ、視力予後の向上につながると期待されます。

ただ稀な合併症として、強膜に固定したインプラントが結膜の表面に出てくることがあり、早期の処置(被覆となど)が必要となります。

今後、適応拡大や次世代薬剤との組み合わせによって、さらに治療オプションが広がることが期待されます。

また、日本での承認の行方も注目だれます。

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