GLP-1受容体作動薬と加齢黄斑変性との意外な関係
GLP-1受容体作動薬は、糖尿病や肥満の治療薬として使われる注目の薬剤です。血糖値の改善だけでなく、体重減少や心血管病予防の効果も期待され、「夢の薬」と言われることもあります。オゼンピック・ウゴービ(セマグルチド)などが有名です。
どうしてGLP-1受容体作動薬がnAMD発症リスクを高めるのかについて、明確なメカニズムはまだ解明されていませんが、以下が考えられています。
・GLP-1は網膜にも受容体を持つことが知られており、網膜血管の恒常性に関与している可能性GLP-1 受容体作動薬により、網膜内での血管新生因子(VEGFなど)の発現が変化する可能性
・長期使用による代謝・血管系への慢性的影響が、脈絡膜新生血管形成の誘因となる可能性
現時点では「因果関係」ではなく「相関関係」にとどまり、GLP-1 受容体作動薬の使用中止を勧めるものではありません。
すぐに悪影響が出るわけではありません。
糖尿病患者はもともとAMDリスクが高いため、定期的な眼科受診がより重要です。
今後の研究で、どのような患者群でリスクが高まるのかが明らかになることが期待されます。
GLP-1受容体作動薬は、糖尿病・肥満治療における大きな進歩ですが、「目」の健康との関わりにも注意が必要な時代に入ってきたようです。
糖尿病治療と眼科医療の連携がますます大切になります。
カテゴリー
- お知らせ (10)
- ブログ (423)
- iPS細胞 (19)
- IT眼症 (9)
- OCTアンギオ (8)
- アルツハイマー病 (7)
- アレルギー性結膜炎 (5)
- お困りごと解決情報 (17)
- こんな症状が出たら (35)
- サプリメント (13)
- スタッフから (5)
- ドライアイ (16)
- 中心性漿液性網脈絡膜症 (2)
- 人工知能(AI) (14)
- 加齢黄斑変性 (101)
- 外斜視 (1)
- 抗がん剤による眼障害 (1)
- 白内障 (20)
- 看護からのお知らせ (1)
- 眼精疲労 (12)
- 糖尿病網膜症 (48)
- 紫外線 (2)
- 紫外線、ブルーライト (6)
- 網膜前膜 (3)
- 網膜剥離 (14)
- 網膜動脈閉塞 (8)
- 網膜色素変性症 (7)
- 網膜静脈閉塞 (11)
- 緑内障 (26)
- 色覚多様性 (2)
- 講演会 (28)
- 近況報告 (83)
- 近視予防 (39)
- 飛蚊症・光視症 (14)
- 黄斑円孔 (4)
- 黄斑前膜 (3)
- 未分類 (9)
アーカイブ
最新の記事
- 2025.8.10
- 「見える」をもう一度:HOPE Meeting vol.4で感じた視機能再建の現在地
- 2025.8.1
- 「見る」を取り戻す未来へ:イーロン・マスク氏と視覚再生技術の最前線
- 2025.7.28
- 令和7年お盆休みのお知らせ
- 2025.7.27
- サンデグラジェノックス販売終了のお知らせ
- 2025.7.27
- 白内障と骨折リスクの意外な関係:手術がもたらす“転ばぬ先の杖”
- 2025.7.20
- 9か月に1回で視力を守る時代へ 糖尿病網膜症に登場した“埋め込み式”治療を解説
- 2025.7.13
- 見えにくさの原因に「老化細胞」?―注目の新薬「セノリティック」とは
- 2025.7.9
- 糖尿病で目が見えなくなる時代は変わった?―糖尿病網膜症の20年間の変化を解析
- 2025.6.30
- “目が見えなくなる美容医療”がある – AAOが明らかにしたヒアルロン酸注射の失明リスク
- 2025.6.25
- 『星つなぎのエリオ』の“眼帯”:眼科医のまなざしで読むピクサー作品
「見る」を取り戻す未来へ:イーロン・マスク氏と視覚再生技術の最前線
2025.8.1 ブログ
令和7年お盆休みのお知らせ
2025.7.28 お知らせ
サンデグラジェノックス販売終了のお知らせ
2025.7.27 お知らせ