「見えにくさ」と「家の危険」が重なると、 転倒は一気に増える
- 2025.12.13
- ブログ
高齢者の転倒は、骨折や寝たきりの大きな引き金です。
「視力が落ちると転びやすい」─多くの人が知っています。
でも本当に大事なのは、見えにくさと家の中の危険が同時にあるかどうかでした。
その結果、危険がある家では、視機能が少し悪くなるだけで転倒リスクが段階的に上昇。
逆に、危険が無い家では、視力やコントラストが多少悪くても、転倒率はほぼ横ばいでした。
つまり、高齢者の在宅での転倒リスクは、家内の危険で増幅されるのです。
この研究の意義は、
転倒予防は運動や薬の見直しだけでは不十分。
住環境を整えることが、見えにくさを抱える高齢者ほど効果的です。
しかも、多くは低コストでできる対策です。
まずは視力を確認。
さらに、必要に応じてコントラスト感度も測ることで、日常の見えにくさが可視化できます。
つぎに「家内を整える」
・浴室・トイレに手すり。立ち座りが安定します。
・通路を片づける。コードはまとめ、マットは滑り止めで固定。
・段差と敷居に印を付ける。色のコントラストが有効。
・照明を増やす。玄関・廊下・階段は特に明るく。
・床のがたつき修理。滑りやすいワックスは避ける。
・物の置き場所を下げる。踏み台を使わない高さへ。
・滑りにくい室内履きを用意。裸足・靴下だけはNG。
これらは視機能が低下している方ほど効く対策です。
ただ、今回の研究は「今この瞬間」を切り取った横断調査です。
家を直せば必ず転倒が減る、という効果については、今後の研究で確かめる必要があります。
また、今回の研究で評価した住宅に潜む危険項目は限られており、他の項目については今後の検討を要します。
それでも、見え×環境の相乗効果という全体像は揺らぎません。
最後にメッセージを。
「視力が落ちたから気をつける」だけでは不十分。
見え方の評価と、家内を整える。
この二つを同時に行うだけで、転倒の確率はぐっと下げられます。
今日できる一歩から。
小さな改善の積み重ねが、明日の転倒を防ぎ、自分らしい暮らしを守ります。
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理事長・院長