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子どもとスクリーンの時代に、目の健康をどう守るか

今年は、子どもの近視をめぐる診療が、ひとつの転換点を迎えそうです。

近視進行を抑える点眼薬やメガネレンズが認可され、「近視は放っておくものではない」という考え方が、ようやく現実味を帯びてきました。

しかし同時に、子どもたちを取り巻く環境は、これまで人類が経験したことのないほど「スクリーン中心」になっています。

便利で、学びにも役立つ一方で、目や発達への影響を不安に感じる保護者が増えているのも事実です。

スクリーンは悪者なのでしょうか。それとも、使い方を工夫すれば共存できるのでしょうか。

米国小児眼科医たちが、自身も親として語った議論を手がかりに、
子どもとスクリーンの時代に、目の健康をどう守るかを一緒に考えてみたいと思います。

米国眼科学会 EyeNet Magazine昨年12月号特集「Screen Time and Kids’ Eye Health(子どものスクリーンタイムと目の健康)」 をご紹介します。

彼ら自身も親であり、診療室と家庭の両方の視点から語られています。

スクリーンタイムは、すでに「日常」

近年の調査では、1歳未満からモバイル端末に触れている子どもがほとんどで、4歳までに半数が自分専用のテレビや端末を持つという報告もあります。

10代になると、1日4時間以上スクリーンを見ている子どもが珍しくありません。

特にコロナ禍以降、オンライン学習が普及し、「勉強=近くを見る作業」が長時間続く生活が定着しました。

問題は、学習だけでなく、その後も動画視聴やゲームなどの余暇のスクリーン時間が増えている点です。

「何時間までなら安全?」という問いへの答え

保護者から最も多い質問は、「スクリーンは1日何時間までなら大丈夫ですか?」というものです。

米国小児科学会などは、

・2歳未満:原則スクリーンなし(ビデオ通話を除く)

・2〜5歳:1日1時間以内

・学童期以降:睡眠・運動・家族時間を妨げない範囲で

という目安を示しています。

「教育的コンテンツなら大丈夫では?」という声もありますが、小児眼科医たちは“近くで画面を見る”という点では教育用でも娯楽でも同じと強調します。

近視進行とスクリーンの関係

注目されているのが、近視の増加です。

中国で行われた研究では、コロナ禍で屋外活動が減り、スクリーン学習が増えた年に、低年齢児の近視が急増しました。

小児眼科医たちが共通して勧めるのは、「屋外で過ごす時間を1日1〜2時間確保すること」。

スクリーン時間を減らすこと以上に、外で光を浴び、遠くを見る時間を増やすことが、近視予防には重要とされています。

ブルーライト眼鏡は必要?

ブルーライトを気にする保護者が多いのですが、現時点では、スクリーンのブルーライトが目に有害だという科学的根拠はありません。

ただし、ブルーライトは睡眠リズムに影響するため、就寝前2時間はスクリーンを見ることとを控えることは理にかなっています。

目の疲れとドライアイ

長時間のスクリーン使用では、まばたきの回数が減ることが知られています。

これにより、目の乾きや疲れ、かすみ、時には二重に見える症状が出ることがあります。

そこで勧められているのが有名な「20・20・20ルール」(20分ごとに、20秒間、20フィート[約6m]先を見る)。

科学的エビデンスは十分とは言えないものの、害がなく、実践しやすい対策として広く支持されています。

(日本では「30・30・30ルール」。30分ごとに、30秒間、遠くを見る。スクリーンからは30センチ以上離れる。)

斜視や視機能異常との関連

小児眼科医の間では、近くを見続ける生活と急性内斜視との関連も話題になっています。

タブレットやスマートフォンを顔に極端に近づけて使うことが、引き金になる可能性が指摘されています。

そのため、家庭学習では

・タブレット単体ではなく

・外付けモニターとキーボードを使い、距離を取る

といった工夫も勧められています。

目だけでなく、発達や心への影響

スクリーンの影響は、目にとどまりません。多くの研究で、

・言語・社会性の発達の遅れ

・集中力や自己制御の問題

・睡眠障害

・肥満リスク

・不安や抑うつとの関連

などが報告されています。特に乳幼児期からの過剰な使用は、発達への影響が懸念されています。

医師たちは、「退屈する経験」「人と目を合わせて関わる経験」こそが、子どもの成長に不可欠だと指摘しています。

スクリーンを「ゼロ」にしなくていい

現実的な提案として強調されているのは、いきなり禁止しないことです。

長時間使っている子どもに、突然「今日からゼロ」はうまくいきません。段階的に減らし、家庭ごとのルールを作ることが大切です。

時間制限アプリを使い、親が「管理者」になりすぎない工夫も有効です。

また、大人自身がスクリーン依存を見直すことも、子どもへの強いメッセージになります。

おわりに

スクリーンは、もはや子どもたちの生活から切り離せない存在です。

大切なのは、排除することではなく、賢く付き合うこと。

目の健康、体の発達、心の成長を守るために、バランスの取れたスクリーンとの関係を、家庭と医療が一緒に考えていく時代に入っています。

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