「去年たくさん進んだから、今年も進む?」-広がる子どもの視力低下と、今できること-
文部科学省の2025年度学校保健統計調査によると、裸眼視力1.0未満の割合は、小学生で36%、中学生で約6割、高校生では7割を超えたと報じられました 。
学年が上がるにつれて割合は増え、小学1年生で約24%だったものが、小学6年生では約48%にまで上がっています。
この数字を見ると、「うちの子もこれからどんどん悪くなるのでは」と心配になりますよね。
診察室でもよく聞くのが、「去年すごく進んだから、今年も同じように進みますか?」という質問です。直感的には「速く進む子はずっと速い」と思いがちです。
ところが、最近の海外の研究では、過去1年間の近視の進み方は、翌年の進行をあまりうまく予測できないことが示されました 。
たとえば、1年間で0.50D以上進んだ子が、翌年も同じように進む確率は約42%。半分以下です。
つまり、「去年速かった=今年も速い」とは限らないのです。
子どもの近視は年齢とともに自然に少しずつ進みにくくなる傾向があります。また、ある年に大きく変化しても、翌年は落ち着くこともあります。だからこそ、過去の進行だけで将来を決めつける必要はありません。
では、私たちにできることは何でしょうか。
まず大切なのは、生活環境を整えることです。
① 近くを見るときの距離
本やタブレットは30cm以上離すのが基本です。
肘を伸ばしたくらいの距離が目安になります。
② 連続使用を避ける
1時間続けて勉強やゲームをしたら、
5〜10分は遠くを見る休憩を入れましょう。
窓の外を眺めるだけでも効果があります。
③ 屋外活動を増やす
1日合計2時間程度の屋外活動が推奨されています。
特別な運動でなくても、公園で遊ぶ、買い物に歩いて行くなどで十分です。
④ 就寝前のスマホを控える
暗い部屋で近距離の画面を見ることは、目に大きな負担になります。
就寝前30分は画面を見ない習慣をつけましょう。
⑤ 定期検査
「去年どうだったか」よりも、
今の年齢と現在の度数を把握することが重要です。
少なくとも半年〜1年に一度は眼科でチェックを。
近視が増えているのは事実です。でも、すべての子どもが急激に悪化するわけではありません。進み方には大きな個人差があります。
大切なのは、数字に振り回されすぎないこと。そして、「できること」を一つずつ積み重ねることです。
近視は予防や進行抑制が可能な時代になっています。心配しすぎず、でも放置せず、わが子の目を一緒に守っていきましょう。
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理事長・院長