視力低下の子供が増加中
- 文部科学省は昨年末の12月21日、平成30年度学校保健統計調査の結果速報を公表しました。(確定値の公表は平成31年3月の予定です。)
- 文部科学省は、学校における幼児、児童、生徒の発育や健康の状態を明らかにすることを目的に、学校保健統計調査を昭和23年度から毎年行っています。
- 調査項目には視力も含まれています。
- 今回は平成30年4~6月に実施した全国の幼稚園児から高校生までの健康診断の結果報告です。
- 調査結果のポイントは以下の通りです。
- 1.身長は平成6年度〜13年度をピークに、その後は横ばい。
- 2.体重は平成10年度〜18年度をピークに、その後は減少もしくは横ばい。
- 3.肥満傾向児は平成15年度あたりから減少傾向。
- 4.むし歯はピーク時(昭和40~50年代)より減少傾向。中学校および高校で過去最低。
- 5.裸眼視力が1.0未満の者は小学校および高校で過去最高。中学校でも過去最高だった昨年度と同程度の高い割合。
- 体格はここ10年以上の間変わりがなく、口腔衛生は確実に改善しています。
- 一方、視力は悪化の傾向にあります。裸眼視力が1.0未満の主因は近視の発症・進行です。
- 下記は「裸眼視力1.0未満の割合の推移」を示したグラフです。
![](https://www.hikichi-eye.jp/_wp/wp-content/uploads/2019/01/7dd4c3f74f006b34bb1d70d7adebd54e.jpg)
- 平成30年度の結果速報値では、小学生の34.1%、高校生で実に67.1%が裸眼視力1.0未満でした。
- 昭和54年から幼児、児童、生徒ともに右肩上がりに裸眼視力1.0未満の割合が増加しており、しかもその増加傾向に歯止めがかかりません。
- この結果に対し文部科学省は専門家の意見として、「スマートフォンや携帯型ゲーム機の画面を眺めて過ごす時間が増えたこと」が影響しているようだとコメントしています。
- 近業作業は近視の発症・進行を促します。一方、野外活動には抑制効果があります。
- 最近のお子さんは塾通いも多く、放課後に屋外で遊べる場所も少なくなっており、視力を守るのに厳しい環境に置かれていると思われます。
- 近視、特に強度近視では様々な目の病気の発症リスクが高まります。
- 歯磨きの励行やデンタルクリニックに関する教育・啓蒙活動が虫歯予防に成果をあげたように、
- 近視予防についての啓蒙活動を、国を挙げて行う必要がありそうです。
- 平成の元号の期間では歯止めがかからなかった子供達の近視増加を、新たな元号では是非とも改善させたいものです。
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