「見る」を取り戻す未来へ:イーロン・マスク氏と視覚再生技術の最前線
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今日は、JAMA Ophthalmologyに発表された、
子どもの近視に対する新しい治療法とその影響に関する研究をご紹介したいと思います。
近年、子どもの近視が年々増えていることが世界的に問題視されています。
そこで新たな治療法として中国から報告され、注目されているのが、
低出力赤色光(Repeated Low-Level Red Light:RLRL)を使った治療です。
この治療は、
・毎日数分間、目に優しい赤色の光(弱い強さ)をあてる
・これを繰り返すことで、眼球の奥行き(眼軸)が伸びるスピードを抑え、近視の進行を防ぐ、というものです。
これまでアジアを中心にいくつかの研究が行われ、近視の進行を抑制する効果が報告されてきました。
日常生活に大きな支障もなく、治療としての安全性にも期待が寄せられています。
一方で、赤色光を毎日照射することが、目の奥の組織(網膜)にどのような影響を与えるかについては、まだ十分な情報がありませんでした。
今回、JAMA Ophthalmologyに掲載された研究では、赤色光治療を1年以上続けた子どもたちの網膜を、最新の高精度検査機器(適応光学走査レーザー検眼鏡:AOSLO)使って詳しく調べました。
この検査機器は、網膜の中でも特に中心部分にある光を感じる細胞(錐体細胞)を、細かく見ることができる特別なものです。
研究でわかったこと
・赤色光治療を受けた子どもたちの一部で、中心部近くの錐体細胞の密度がわずかに減少している。
・しかしこれらの変化は、通常の視力検査や眼底検査では検出されないほど微細なものでした。
・さらに、多くの子どもたちでは自覚症状(見え方の異常など)はありませんでした。
研究の結果、赤色光治療によってわずかな網膜の変化が見られることがあるものの、現時点では視力に大きな影響を与えるものではないと考えられています。
今回の結果は、「赤色光治療は基本的に安全と考えられるが、慎重な経過観察が必要である」ということを示しています。
また、注意していただきたい点は、
・研究に使われた検査(AOSLO)は、一般の眼科診療では行われない非常に高度な検査です。
・日常診療で行う視力検査や眼底検査では、こうした微細な変化は通常検出されません。
まとめ:赤色光治療の効果と今後への期待
・低出力赤色光治療は、子どもの近視進行を抑えるための有力な選択肢のひとつです。
・一方、長期間にわたる治療については、網膜への影響を慎重に見守る必要があることも今回の研究でわかりました。
・ただし、現時点では大きな視力低下や生活への支障をもたらすリスクは低いと考えられます。
今後さらに多くの研究が行われ、「より安全で、効果的な近視治療」が確立されていくことが期待されています。
近視の進行をできるだけ抑えるためには、
・外遊びなど自然光を浴びる機会を増やすこと
・スマホやタブレットの使い過ぎに注意することも大切です。
この度、低濃度アトロピン点眼薬(商品名りじゅセアミニ点眼薬)が、正式承認され、自由診療で使用可能となりました。
もともとアトロピンは瞳孔を広げる作用のある薬ですが、超低濃度にすることで、瞳孔径やピント調節への影響をほとんど出さずに、近視進行だけを抑える効果が期待できることがわかっています。
これまでシンガポールや台湾などアジア各国で多くの臨床研究が行われ、低濃度アトロピン点眼は、年間の近視進行量を30~60%程度抑制できることが報告されています。
当院でも、お子さまの目の健康を守る新たな選択肢として導入を決定し、治療開始の準備が整いました。近日中に詳細をホームページに掲載する予定です。
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