診療予約専用 011-788-2210

お問い合わせ 011-708-1010

月~土 午前 9:00~12:00/月・木 午後 14:00~17:30
手術日 火・金の午後 / 休診日 日曜・祝日

交通アクセス [札幌駅徒歩3分]
交通アクセス

閉じる

ウェブ予約

「注射の回数を減らしながら、見え方を守る」—VEGFを長く抑えるという発想

ジョンズホプキンス大学ウィルマー眼科研究所のCampochiaro教授が、眼底血管疾患に対する治療の課題と今後の展望についての見解がAmerican Journal of Ophthalmologyに掲載されましたのでご紹介します。

加齢黄斑変性(nAMD)や糖尿病網膜症・黄斑浮腫、網膜静脈閉塞といった網膜血管の病気では、血管内皮増殖因子(VEGF)という物質が増え、新生血管や水漏れ(血管透過性亢進)を起こします。

現在は、目の中に抗VEGF薬を注射してVEGFの働きを止める治療が主流です。

効果は高いのですが、眼内注射を数週間~数か月ごとに繰り返す必要があり、通院・費用などの面で大きな負担になります。

そこで、ずっとVEGFを低く保つことはできないだろうかこの挑戦が「持続抑制」(Sustained Suppression of VEGF)という考え方です。

では、なぜ“持続”が大事なのか!

眼内注射の投与間隔を延ばしていくと、うまくいく時期もあれば、再び滲出(水漏れ)が出る時期もあります。いわば、蛇口を開け閉めしながら水たまりを抑え込むようなもの。

とくに糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞では、毛細血管が詰まる→酸素不足→VEGFが増える→さらに毛細血管が詰まる、という悪循環が働くため、

“切れ目なくVEGFを抑える”ほうが理にかなうのです。長期的に、組織の傷みや視力の低下を抑えられる可能性があります。

どうやって長く抑えるの?

発想はシンプル。「目の中に効き目を長く残す」か「体の中で長く作ってもらう」か、です。

・小さな薬のタンク(ポート)を埋め込む
角膜の横に米粒サイズの容器を入れ、薬が少しずつ放出。→ 数か月ごとに補充すれば、注射の回数を大きく減らせます。※小さな手術が必要。

・上脈絡膜腔(強膜と脈絡膜の間)に薬を入れる
極細の針で眼球後方の網膜に薬が効きやすい場所に薬剤を投与。→ 前眼部(角膜など)への副作用を抑えつつ効率よく届けられる。※薬によって効き目の持続は違います。

・点眼(目薬)を工夫する
そのままでは網膜に届きにくいので、懸濁・ゲル化・結合の工夫で後ろまで届きやすく長く残るように設計中。
※実用化はこれから、という段階のものが多いです。

・遺伝子治療(“薬を作る設計図”を投与)
目の中で抗VEGFを長く作ってもらう方法。→ 投与回数の大幅削減が期待できます。※炎症などのリスク管理と、患者さんの選び方が大切。

・小分子薬+“ゆっくり溶ける粒・ジェル”
目の中で数か月~1年かけて溶けるように作り、薬を持続的に放出。→ 外来で扱いやすい一方、薬ごとの効き方・安全性は異なるため見極めが必要。

近い将来の診療はこう変わる!?

・治療の選択肢が増える:上述の治療薬の中には第3相臨床試験まで進んだ製品がいくつかあり、近い将来、臨床現場での使用が可能となりそうです。現在の治療方法に加え、新たな薬剤の登場で、治療の選択肢が広がります。

・在宅モニタリングとの連携:家庭用OCT(光干渉断層計検査)や遠隔診療が広がれば、必要な時だけ医療機関を受診するという治療が現実的になります。

・治療の目標は「視力を守りつつ、生活を守る」:見え方を安定させることはもちろん、通院・費用・時間の負担を下げることも、今後登場する治療の成果として期待されます。

抗VEGF注射は確かな治療法ですが、VEGFを切れ目なく抑え込むことができると、病気の活動性に影響されず、長期的に網膜・脈絡膜を守れる可能性が高まります。

方法は一つではありません。小さな貯蔵タンク、脈絡膜上腔への投与、点眼、遺伝子治療、デポ製剤。それぞれの利点と注意点を理解し、患者さんと相談しながら治療法を選ぶ時代が到来しそうです。

カテゴリー

アーカイブ

最新の記事

2026.2.22
「去年たくさん進んだから、今年も進む?」-広がる子どもの視力低下と、今できること-
2026.2.14
萎縮型加齢黄斑変性に、いま治療という選択肢を:アイザベイが示す新しい可能性と治療を勧めたい患者さん像
2026.2.9
令和8年2月9日(月)
2026.2.8
多焦点眼内レンズは、今どこまで進化しているのか
2026.2.1
RVO(網膜静脈閉塞症)について、よくある質問―東京で行われた専門医座談会を踏まえて―
2026.1.25
「見えているから大丈夫」は本当? -高齢者の3人に1人が気づかない目の病気を抱えている-
2026.1.18
喫煙は「目の奥の大切な層」を静かに薄くする― 大規模研究が示した、たばこと目の意外な関係 ―
2026.1.11
子どもとスクリーンの時代に、目の健康をどう守るか
2025.12.27
日本人にとても多い緑内障―今年の締めに、 目の健康を考えてみませんか
2025.12.22
令和8年1月7日(水)受付開始は10:30です

ひきち眼科HIKICHI EYE CLINIC 理事長・院長引地 泰一

〒060-0807 北海道札幌市北区北七条西5-7-1札幌北スカイビル14階
JR札幌駅西口、または北口から徒歩3分
ヨドバシカメラ様より北向かいのビルの14階になります。

診療予約専用011-788-2210

お問い合わせ011-708-1010

受付時間
診療受付
9:00~12:00 -
14:00~17:30 - - -

▲は手術日になります。また日曜・祝日は休診となります。