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新生血管型加齢黄斑変性に対する点眼治療薬の開発が進行中です

開発中の新生血管型加齢黄斑変性(nAMD)に対するチボザニブ点眼液の第1相臨床試験の結果が、米国眼科学会の機関誌のひとつであるOphthalmology Scienceの最新号に掲載されましたのでご紹介いたします。

この治療薬の最も注目すべき点は、点眼薬だということです。

現在は眼の中に抗血管内皮増殖因子(VEGF)阻害剤という薬剤を注射する治療が標準的で、治療で改善した視機能を維持するには継続的に頻回の注射を行う必要があり、患者様にとって大きな負担となっています。

チボザニブ点眼液は、協和キリン株式会社が創製したVEGF受容体-チロシンキナーゼ阻害剤を点眼薬として設計したもので、薬剤が眼の奥まで届くようにナノテクノロジーを利用したそうです。

新たな薬が承認されるまでには、3つのステップ(第1相から第3相)からなる臨床試験を経て、安全性と有効性が実証されなけれななりません。

第1相臨床試験では、少人数の健康な成人に、少量から薬剤の投与量を増やしていき、安全性を調べます。薬剤によっては、少人数の患者に投与し、薬剤の効き目を予備的に調べることもあります。

今回の第1相臨床試験では、88名の健康成人と28人のnAMD患者が上述の目的で臨床試験に参加されました。

その結果、チボザニブ点眼薬に起因する問題となるような副作用は、眼局所においても全身的にも認められませんでしたが、軽度の点状表層角膜炎が生じた症例が散見されたようです。

第1相臨床試験では薬剤投与後の血中への薬剤移行の状況も調査するのですが、

チボザニブ点眼薬では、点眼後に目頭を圧迫することで血中への薬剤移行が少なくなることが確認されました。

今回の報告で特に注目される結果は、nAMDの疾患活動性がチボザニブ点眼治療で治っている2症例の光干渉断層計検査(OCT)の経時変化が提示されている点です。

提示されたOCTの経時変化は、従来の抗VEGF阻害剤の眼内注射と遜色ない治療効果です。

全例で提示症例と同様な良好な効果が確認されたわけではないようです。

協和キリン株式会社は第1相臨床試験の結果を受け、現在は第2相臨床試験を進行させています。

点眼治療は眼内注射と比べ、侵襲の少ない治療方法です。

今後の報告を期待して待ちたいと思います。

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