眼疾患では気付かぬうちに視機能障害が進んでしまう
米国眼科学会ホームページの一般の方への情報コーナーに、「目の健康についてどれだけご存知ですか?」というタイトルの記事が掲載されていますのでご紹介します。
多くの人が癌や心筋梗塞、脳梗塞、脳出血に罹患することを心配されていますが、それ以上に視機能を失うことへの不安や心配の方が大きいことが、これまでの研究から明らかになっています。
多くの人が眼疾患についての知識はあると答えるようですが、実際にはまだまだ知られていないのが実情で、眼疾患についての知識が無いということが視機能を失うリスクになります。
例えば、米国成人の81%が眼疾患についての知識があると答えたものの、米国での視機能障害をきたす三大疾患を知っている人は5人に1人の割合でした。
(米国では緑内障、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症の順番で、日本では緑内障、網膜色素変性症、糖尿尿網膜症、黄斑変性となります。)
眼疾患について知っておくべき最も重要な知識は、「眼疾患では症状に気がつかないうちに視機能障害が進んでしまうことが多い」ということです。
ゆっくりと視機能障害が進行すると、脳が適応し、見えない部分も見えているように感じてしまうため、視機能障害を自覚することが難しくなるのです。
米国成人の63%は、視機能障害がかなり進んでも自覚症状が現れにくいことを知りませんでした。
民族によって、眼疾患の罹患率や視機能障害の進行リスクは異なります。例えば、
・アフリカ系米国人は白人と比べ6〜8倍緑内障に罹患しやすく、かつ失明のリスクが高いのです。
・加齢黄斑変性に罹患した米国人の約90%は白人です。
・日系を含むアジア系米国人は、正常眼圧緑内障と閉塞隅角緑内障といった米国では比較的稀なタイプの緑内障に罹患するリスクが高くなります。
・アフリカ系、ヒスパニック系、アジア系、米国先住民は白人よりも糖尿病に罹患しやすく、糖尿病患者の45%が糖尿病網膜症を発症しています。
65歳を過ぎると米国人の3人に1人が視機能に影響を与える何らかの眼疾患に罹患します。見えにくくなったのは決して年齢によるものではないのです。ところが米国人の3人に2人は、見えにくくなったのは年齢のせいで仕様が無い信じ切っています。
視機能を守るための5つの心得があります。
・緑黄色野菜などの健康的な食品を摂取し、体重管理を心がける
・紫外線を99~100%カットするサングラスを装用する
・禁煙
・定期的に目の検査を受ける
・血縁者の目の病気について知っておく
視機能の低下は目だけの問題にとどまりません。
怪我のリスクが高まるだけではなく、生命に関わる疾患に罹患しやすくなったり、社会的に孤立したり、うつ状態にもなりやすいのです。
眼科診療は、診断技術や検査機器の進歩、治療薬の開発、手術手技や手術機器の発展などの恩恵を受け、早期診断、早期治療、治療成績の向上が可能となっています。
この恩恵を受けるには、まずは医療機関を受診しなければなりません。手遅れにならないことが大切です。
米国では視機能障害をもたらしかねない眼疾患の患者が増加すると推測されています。
2010年に270万人だった緑内障患者は、2050年には550万に増加、
770万人だった糖尿病網膜症患者は、1,320万人に、
200万人だった加齢黄斑変性患者は、2倍の440万人に増加すると予測されています。
今回は米国眼科学会からの情報ですが、眼疾患では気付かぬうちに視機能障害が進んでしまうことが多いのは、万国共通ですし、視機能を守るための5つの心得も同様です。
目の定期検査が肝要です。
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