加齢黄斑変性・糖尿病黄斑浮腫に対する抗VEGF療法で自動車運転に必要な視機能の維持を
滲出型加齢黄斑変性(nAMD)と糖尿病黄斑浮腫(DME)に対しては、血管内皮増殖因子(VEGF)の働きを抑える抗VEGF剤を眼内に注射する抗VEGF療法が第一選択の治療法として世界中で行われれいます。
自動車免許の更新が可能な視力の維持という視点から、nAMDとDMEに対する抗VEGF療法の治療成績を検討したカリフォルニア大学などの研究チームの論文が、米国眼科学会の機関誌であるOphthalmology Retinaに掲載されました。
この研究では、米国で網膜硝子体疾患診療を専門とする眼科施設の患者情報を集積したVestrum health care のデータを利用し、nAMD 68,621人とDME 46,553人を対象としました。
抗VEGF療法1年後の視力は、治療前と比べ、nADでは視力表の2段階弱の改善、DMEでは2段階の改善が得れました。
抗VEGF療法4年後の視力は、治療前と比べ、nAMDではやや改善、DMEでは視力表の1段階強の改善で、治療前よりは視力が良くなっているものの、治療1年後から4年後までの間で、視力はやや低下する傾向にありました。
抗VEGF療法4後に自動車免許の更新が可能な視力を維持していた症例は、
nAMDでは56%、DMEでは72%でした。
免許更新可能な視力を維持していた症例は、
治療初年度の抗VEGF剤投与回数が5回以下だと、nAMD 50%、DME 63%で、
8回以上では、nAMD 65%、DME 77%でした。
治療初年度の抗VEGF剤頻回投与が、治療4年後の自動車免許更新可能な視力、
すなわち良好な視機能の維持につながることが確認されました。
高齢者、治療開始時の視力が悪い症例、更にnAMDでは萎縮病変をともなう症例、DMEでは糖尿病網膜症が重症な症例が、自動車免許の更新が出来ない視力に低下しやすい症例であることが明らかとなりました。
治療により運転免許更新可能な視機能の維持ができる症例の割合は、2016年にJAMA Ophthalmologyに掲載された抗VEGF剤第3相試験の事後解析論文と、ほぼ同様な結果でした。
自動車の運転には良好な視機能が求められます。
視機能がかなり低下した状態から抗VEGF療法を開始すると、視機能の改善は得られますが、運転免許更新可能な視機能への向上はハードルが高いようです。
治療後長期的に運転免許更新可能な視機能を維持するためには、病状が早期の段階で治療を開始し、治療開始当初にしっかり抗VEGF剤の投与を行い、病状の鎮静化を図ることが大切であることを今回の論文は示しています。
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理事長・院長