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2024.12.3 お知らせ
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今月、スイスに本社のある製薬会社ロシュは、網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫に対するファリシマブの治療間隔延長を評価した第3相臨床試験(BALATON trialとCOMINO trial)において、最長4ヶ月の投与間隔で良好な長期治療成績(治療開始72週)を得たと報告しました。
網膜静脈閉塞症は、網膜静脈が詰まる病気で、網膜静脈が詰まると静脈の内圧が上昇し、静脈が拡張・蛇行、静脈から網膜に血液がしみ出し、網膜出血や網膜のむくみが生じます。網膜の中央部分(黄斑)がむくむと(黄斑浮腫)、物が歪んで見え、視力が低下します。
網膜静脈閉塞症の眼内では、血管内皮増殖因子(VEGF)やアンジオポエチン-2(Ang-2)という物質が上昇しており、血管からの血液成分のしみ出しを亢進させ、炎症を惹起させ、病状が悪化します。
現在、網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫に対する治療は、VEGFの働きを抑制する抗VEGF薬の眼内注射で、抗VEGF薬の投与により黄斑浮腫が治り、視力や歪みが改善します。
治療開始当初は抗VEGF薬投与後2〜3ヶ月で黄斑浮腫が再発することが多いのですが、1〜2年を経過した頃には再発しなくなる症例が増えてきます。ただ、発症後2〜3年が経過しても追加治療が必要な患者様もおられ、投与回数にばらつきがみられます。
ファリシマブはVEGF-AとAng-2の働きを同時に抑えることができる薬剤で、既に滲出型加齢黄斑変性と糖尿病黄斑浮腫の治療薬として日本をはじめ、世界各国で承認を受けており、従来の抗VEGF薬による治療と比べ、薬剤の投与間隔延長が確認されています。
BALATONとCOMINO trialsは、ファリシマブが網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫に対しても、従来の抗VEGF薬による治療と比べ、薬剤の投与間隔を延長できることを明らかにしました。
薬剤投与間隔の延長は、投与回数や通院回数を減らすことができ、患者さんの負担軽減となります。
厚生労働省がファリシマブの治療適応疾患に網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫を追加承認し、その後、臨床の現場で使用可能となります。