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近未来の緑内障診療―米国眼科学会2023年

11月3日〜6日の日程で、2023年度米国眼科学会総会がサンフランシスコで開催されました。

コロナ禍の3年間はリアルタイムのWEB配信やオンデマンド配信もあったのですが、今年は現地開催となりました。

米国眼科学会のホームページでは特別講演の内容やトピックスについて紹介されており、緑内障専門分科会でカリフォルニア大学サンフランシスコ校Ou教授が講演された「緑内障患者の手助けとなる自宅検査ツール」もその中のひとつです。

Ou教授は、緑内障診療に必要な検査が自宅で完結することで通院が不要となる近未来を見据えて、現況を解説されました。

まず自宅で行う視力検査は、すでに3種類のツールの有用性が評価されており、眼科診療施設での視力検査に匹敵する正確さを有するようです。

視野検査については、タブレットやWebを利用し自宅で行う視野検査が開発されており、精度の高さが確認されています。ただ開発されて間もないため、緑内障患者の長期の視野変化をモニターできるかについては今後の検証が必要とのことです。

緑内障の診断や経過観察で大切となる視神経乳頭検査は、携帯電話に特殊なアダプターを付けて眼底写真を撮影することで可能となりますし、自宅用の光干渉断層検査装置も開発されており、視神経乳頭検査についても眼科診療施設での検査と同様な精度が確保されそうです。

また、眼圧測定については自宅でもモニターできるツールが開発されており、日々の眼圧変化をとられることができるため、治療成績の向上につながる可能性が示唆されています。

さらに、微量な点眼量で薬効がある点眼治療薬の開発が進んでおり、従来の点眼薬と比べ眼局所や全身への副作用の減少が期待され、現在以上に安全な緑内障治療が可能となりそうです。

上述の検査が自宅で可能となり、点眼治療薬の副作用も減れば、眼科診療施設への通院は大きく減りそうです。

自宅検査の結果を集約しAIが読み取るシステムを構築することで、AIが診断や治療経過の評価を行うことができ、緑内障治療薬の処方や必要に応じて治療薬の変更などの指示をしてくれそうです。

AIが外科的な治療を要すると判断した時のみ、眼科診療施設を受診する。

そんな時代がそう遠く無い日に訪れるのかと推測されます。

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