ハロウィンの仮装とカラコンによる目のトラブル
- 2021.10.20
- ブログ
10月31日は衆議院選挙の投票日ですが、世界的にはハロウィンです。
昨年はコロナ禍で自粛が求められたハロウィンですが、行動制限が緩和された今年は例年以上に盛り上がるのかもしれません。
この時期、米国眼科学会(AAO)のホームページには、仮装に使用するカラコンに対する注意喚起の記事が掲載されます。
米国では、仮装で虹彩の色を変えるのにディスカウントストアやインターネットで購入したカラコンによる目のトラブルが、ハロウィンの後に増加するようです。
今年のAAOホームページには、ディスカウントストアで購入したカラコンを数時間装用後、両目に激痛を感じ、カラコンを外そうとしても、カラコンが目にへばり付いた患者を紹介しています。
この患者は、黒目(角膜)の細菌感染により、本来は透明な角膜が白濁し、視力が低下したそうです。
角膜は涙液を介して空気中の酸素を取り入れています。目を閉じている時は、目を開いている時に比べ、角膜への酸素供給量は約1/3に減少します。
コンタクトレンズで角膜の表面が覆われると、コンタクトレンズと角膜との隙を満たす涙液中の酸素が減り、角膜が酸素不足になるため、角膜表面の細胞が脱落し、痛みが生じます。
細菌に対する抵抗力も低下し、細菌感染が起こりやすくなります。
細菌感染が悪化すると、透明な角膜に濁りが残るため、視機能障害を招きます。
角膜への酸素供給が良好なコンタクトレンズの開発が進んでおり、安全基準を満たしたコンタクトレンズには「高度管理医療機器承認番号」が表示されています。
販売されているカラコンの中には「高度管理医療機器承認番号」がなく、製造方法や品質が悪い商品があるようです。
軽い気持ちで使用したカラコンで視機能が損なわれては大変です。
視力や涙液、角膜の状態などについて眼科で検査をしっかり受けて使用することをお勧めします。
カテゴリー
- お知らせ (34)
- ブログ (343)
- iPS細胞 (17)
- IT眼症 (8)
- OCTアンギオ (5)
- アルツハイマー病 (6)
- アレルギー性結膜炎 (5)
- お困りごと解決情報 (17)
- こんな症状が出たら (34)
- サプリメント (11)
- スタッフから (5)
- ドライアイ (13)
- 中心性漿液性網脈絡膜症 (2)
- 人工知能(AI) (12)
- 加齢黄斑変性 (77)
- 外斜視 (1)
- 抗がん剤による眼障害 (1)
- 白内障 (15)
- 看護からのお知らせ (1)
- 眼精疲労 (11)
- 糖尿病網膜症 (32)
- 紫外線 (1)
- 紫外線、ブルーライト (6)
- 網膜前膜 (2)
- 網膜剥離 (12)
- 網膜動脈閉塞 (6)
- 網膜色素変性症 (7)
- 網膜静脈閉塞 (8)
- 緑内障 (22)
- 色覚多様性 (2)
- 講演会 (24)
- 近況報告 (74)
- 近視予防 (25)
- 飛蚊症・光視症 (13)
- 黄斑円孔 (4)
- 黄斑前膜 (2)
- 未分類 (8)
アーカイブ
最新の記事
- 2023.12.3
- 令和4年度学校保健統計:裸眼視力1.0未満は小学校3割超・中学校約6割・高等学校約7割
- 2023.11.26
- 視力と認知症の関係について「日刊ゲンダイ」の取材を受けました
- 2023.11.16
- 眼球移植:米国ニューヨーク大学
- 2023.11.12
- 2023年度米国眼科学会総会:網膜分科会
- 2023.11.9
- 近未来の緑内障診療―米国眼科学会2023年
- 2023.10.27
- ファリシマブ、網膜静脈閉塞症黄斑浮腫に対し4ヶ月の投与間隔で視力改善を維持
- 2023.10.20
- AIを搭載した眼底疾患診断装置(RETFound)
- 2023.10.13
- 多焦点眼内レンズ白内障手術
- 2023.10.6
- 糖尿病治療GLP-1受容体作動薬と糖尿病網膜症
- 2023.10.2
- 光干渉断層計の開発者がラスカー・ドゥベーキー臨床医学研究賞を受賞