瞳の色と遺伝子
- 2021.4.4
- ブログ
最近はカラーコンタクトレンズ(カラコン)で瞳の色を変えることができますが、アジア人の多くは茶色やこげ茶色です。
世界的には茶色、青色、グレー、緑色と多彩です。稀ですが、紫の方もおられます。
瞳の色は、虹彩(いわゆる茶目)に含まれるメラニン色素の量によって違うと考えられています。
メラニン色素は、黒あるいは褐色のユウメラニンと、黄色ないし赤色のフェオメラニンの2種類があります。
メラニン色素は、紫外線から目を守る働きがあり、太陽の光が強い暑い国ではメラニン色素が多い黒や茶色の瞳の人が多く、太陽光が弱い寒い国ではメラニン色素の量が少ないグレーや青色の瞳の人が多いといわれています。
また、虹彩の表面は網の目のような凹凸があり、虹彩紋理と呼ばれています。
虹彩紋理は指紋のように個々人で微妙に異なっており、個人認証に使われることがあります。
これまで、虹彩の色を決める遺伝子は主に2つあると考えられていました。
科学雑誌Science Advancesの3月号に、虹彩の色の決定に関与する新たな遺伝子領域が50個以上見つかったという論文が掲載されました。
この研究ではヨーロッパの19万人以上を対象に、ヒトが持つ全ての遺伝子を解析しました。
今回新たに同定された遺伝子領域には、虹彩の2種類のメラニン色素の量に関わる遺伝子や、虹彩紋理や虹彩の厚みを決定する遺伝子などが含まれています。
外部から目の中に入った光の一部は、虹彩の表面で反射し、虹彩の色味に影響を与えるのですが、虹彩の形状や厚みで光の反射が違うため、仮に虹彩のメラニン色素が同量でも形状や厚さが違えば、虹彩の色味が変わるのです。
瞳の色には遺伝子が非常に複雑に関わっていることが明らかになりました。
この研究ではアジア系の1600人以上の遺伝情報も解析しており、さらに研究を進め、ヨーロッパ系の人と比較することで、古代の人類の移動や自然淘汰といった人類学的な解析にもつながるようです。
カテゴリー
- お知らせ (36)
- ブログ (373)
- iPS細胞 (17)
- IT眼症 (8)
- OCTアンギオ (5)
- アルツハイマー病 (7)
- アレルギー性結膜炎 (5)
- お困りごと解決情報 (17)
- こんな症状が出たら (34)
- サプリメント (12)
- スタッフから (5)
- ドライアイ (14)
- 中心性漿液性網脈絡膜症 (2)
- 人工知能(AI) (12)
- 加齢黄斑変性 (90)
- 外斜視 (1)
- 抗がん剤による眼障害 (1)
- 白内障 (17)
- 看護からのお知らせ (1)
- 眼精疲労 (11)
- 糖尿病網膜症 (39)
- 紫外線 (2)
- 紫外線、ブルーライト (6)
- 網膜前膜 (2)
- 網膜剥離 (14)
- 網膜動脈閉塞 (7)
- 網膜色素変性症 (7)
- 網膜静脈閉塞 (10)
- 緑内障 (26)
- 色覚多様性 (2)
- 講演会 (24)
- 近況報告 (78)
- 近視予防 (30)
- 飛蚊症・光視症 (14)
- 黄斑円孔 (4)
- 黄斑前膜 (2)
- 未分類 (8)
アーカイブ
最新の記事
- 2024.7.26
- メラトニンは加齢黄斑変性の発症・進行を予防
- 2024.7.20
- 眼科コメディカルセミナー2024
- 2024.7.11
- 減量薬は前部虚血性視神経症のリスクあり?
- 2024.7.4
- 中外製薬 眼科医配布パンフレット「Ask the expert in nAMD」
- 2024.7.1
- Retina update seminar in Chugoku〜明日から役に立つアレ!〜
- 2024.6.14
- 「目の紫外線対策」- 札幌テレビ「どさんこワイドニュース」
- 2024.6.7
- 裂孔原性網膜剥離は世界的に増加傾向です
- 2024.6.1
- 慢性腎臓病は加齢黄斑変性を進行させる
- 2024.5.28
- 眼疾患では気付かぬうちに視機能障害が進んでしまう
- 2024.5.18
- 加齢黄斑変性・糖尿病黄斑浮腫に対する抗VEGF療法で自動車運転に必要な視機能の維持を