受動喫煙で小児の網膜神経線維層が菲薄化
香港の6歳から8歳の小学生3,103人を対象に、受動喫煙と網膜神経線維層の厚みについて検討した論文が、American Journal of Ophthalmologyの3月号に掲載されました。
対象児童の約1/3が受動喫煙にさらされており、受動喫煙のない児童と比べ、網膜神経線維層が薄く、網膜神経線維が脱落していることが明らかとなりました。
さらに、家族に喫煙者が多いほど、喫煙本数が多いほど、網膜神経線維層が薄くなっていました。
網膜神経線維は、光を感じ取った網膜細胞が脳に情報を伝えるためのケーブルの働きをしています。
網膜神経線維が集まり、一つの束になったものが視神経です。
網膜神経線維が脱落する最も有名な疾患が、緑内障です。
喫煙は、緑内障の発症リスクを高めることが知られています。
血縁者に緑内障患者がいる方は、緑内障を発症するリスクが4~9倍高いと言われており、緑内障の発症に関連する遺伝子が報告されています。
受動喫煙によって網膜神経線維が脱落している子供たちが、将来、緑内障を発症しやすいかについては、今後の継続調査が必要ですが、遺伝的な影響のみならず、日常の環境要因も緑内障発症に関与するかもしれません。
子供たちを受動喫煙から守ることが求められています。
カテゴリー
- お知らせ (31)
- ブログ (308)
- iPS細胞 (17)
- IT眼症 (8)
- OCTアンギオ (3)
- アルツハイマー病 (5)
- アレルギー性結膜炎 (4)
- お困りごと解決情報 (16)
- こんな症状が出たら (31)
- サプリメント (11)
- スタッフから (5)
- ドライアイ (12)
- 中心性漿液性網脈絡膜症 (2)
- 人工知能(AI) (11)
- 加齢黄斑変性 (69)
- 外斜視 (1)
- 抗がん剤による眼障害 (1)
- 白内障 (14)
- 看護からのお知らせ (1)
- 眼精疲労 (11)
- 糖尿病網膜症 (29)
- 紫外線 (1)
- 紫外線、ブルーライト (6)
- 網膜前膜 (2)
- 網膜剥離 (12)
- 網膜動脈閉塞 (5)
- 網膜色素変性症 (6)
- 網膜静脈閉塞 (6)
- 緑内障 (20)
- 色覚多様性 (2)
- 講演会 (24)
- 近況報告 (68)
- 近視予防 (22)
- 飛蚊症・光視症 (12)
- 黄斑円孔 (4)
- 黄斑前膜 (2)
- 未分類 (8)
アーカイブ
最新の記事
- 2023.3.21
- 飛蚊症と網膜裂孔・網膜剥離
- 2023.3.11
- アルコール摂取と白内障
- 2023.3.8
- 院内でのマスク着用継続をお願いいたします
- 2023.3.5
- 赤色光治療:近視進行予防
- 2023.2.26
- コロナワクチンと眼炎症性疾患
- 2023.2.19
- アムスラーチャートと滲出型加齢黄斑変性
- 2023.2.12
- 糖尿病網膜症:予防治療よりも定期検査 DRCR.netプロトコールW研究結果
- 2023.2.5
- ヒドロキシクロロキン網膜症
- 2023.1.29
- 令和5年2月1日よりオンラインでの診察予約が可能となります
- 2023.1.29
- 加齢黄斑変性とシャルル・ボネ(チャールズ・ボネット)症候群