第55回日本網膜硝子体学会イブニングセミナー
- 12月3日は午前の診療を終え、「第55回日本網膜硝子体学会」に出席するために、渋谷に向かいました。イブニングセミナーでの講演がありましたので、道中にトラブルがないことを祈りながらの移動でした。
- 今回のイブニングセミナーのテーマは、加齢黄斑変性、特に東洋人に多いタイプのポリープ状脈絡膜血管症の治療について、効果と限界について考えることでした。
- まず、ハワイ大学のKokame教授がポリープ状脈絡膜血管症の自然経過や診断、治療について体系的に解説して下さいました。
- ポリープ状脈絡膜血管症の診断では、光干渉断層計検査の正面像(En face image)が有用であることを強調されました。
- ポリープ状脈絡膜血管症の脈絡膜新生血管は網膜色素上皮層の下にあり、
- 正常では平坦な網膜色素上皮層がデコボコになります。
- 正面像では網膜色素上皮のデコボコが鮮明に描写され、
- このデコボコの範囲に一致して脈絡膜新生血管が存在しているとのことでした。
- 光干渉断層計検査の正面像は造影剤注射が不要で、比較的手軽に撮影することができます。
- 診断のみならず、治療経過を追う上でも有効かもしれないと感じました。
- 私は、ポリープ状脈絡膜血管症は長期にわたり治療・経過観察が必要な疾患であり、
- 長期治療を念頭に置いた治療の大切さについて講演しました。
- 東京女子医大の古泉先生は脈絡膜厚を考慮した治療について、
- 神戸大の本田先生は抗血管内皮増殖因子療法と光線力学的療法の併用治療についてご講演されました。
- 抗血管内皮増殖因子療法の登場により、世界的にみて加齢黄斑変性による社会的失明の患者さんは減少しており、その意義は大きいものがあります。
- 一方、課題も残されています。
- より良い治療を目指して、世界が研究しています。
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