笑いがドライアイの治療になる
この研究では、軽症〜中等度のドライアイ299例を、笑いエクササイズを行う149例と従来の治療薬であるヒアルロン酸点眼(人工涙液)を使用する150例に分けました。
笑いエクササイズを行う症例は、動画の指示に従い、笑顔を浮かべながら、「ヒヒヒ、ハハハ、茄子(チエズ)茄子茄子、七喜(チーシー)七喜七喜、ハハハハハハ」というフレーズを1セット30回言う「笑いエクササイズ」を毎日4セット行い、8週後のドライアイの状況を、ヒアルロン酸点眼症例と比較しました。
その結果、笑いエクササイズを行うことで、ヒアルロン酸点眼によるドライアイの治療と同程度の効果が得られることが確認され、さらに、
笑いエクササイズを止めた4週間後も、ドライアイの改善効果が維持されていました。
研究チームは、笑いエクササイズのドライアイに対する治療効果のメカニズムとして、笑いで引き起こされる発声には腹筋や骨盤底筋群を支配する運動神経群が関与し、特に笑いの腹式呼吸は自律神経系を刺激するため涙の分泌が促進されることや、笑いによって眼輪筋が収縮し、これに隣接するマイボーム腺を圧迫して眼表面に脂質が押し出されることなどが関与しているのではと考察しています。
今回の研究結果は、ドライアイ治療の新たな選択肢となり、長期的に目薬を使用しなければならないドライアイ症例にとって朗報です。
日本では「笑う門には福来たる」と言われていますが、笑いには色々な健康効果があり、長寿につながると報告されています。
免疫機能が増加したり、痛みを軽減したり、糖尿病患者の血糖値が下がったり、認知症の予防につながるようです。
笑いは大切ですね。
カテゴリー
- お知らせ (9)
- ブログ (409)
- iPS細胞 (18)
- IT眼症 (8)
- OCTアンギオ (8)
- アルツハイマー病 (7)
- アレルギー性結膜炎 (5)
- お困りごと解決情報 (17)
- こんな症状が出たら (34)
- サプリメント (13)
- スタッフから (5)
- ドライアイ (15)
- 中心性漿液性網脈絡膜症 (2)
- 人工知能(AI) (14)
- 加齢黄斑変性 (98)
- 外斜視 (1)
- 抗がん剤による眼障害 (1)
- 白内障 (19)
- 看護からのお知らせ (1)
- 眼精疲労 (11)
- 糖尿病網膜症 (43)
- 紫外線 (2)
- 紫外線、ブルーライト (6)
- 網膜前膜 (2)
- 網膜剥離 (14)
- 網膜動脈閉塞 (7)
- 網膜色素変性症 (7)
- 網膜静脈閉塞 (11)
- 緑内障 (26)
- 色覚多様性 (2)
- 講演会 (27)
- 近況報告 (82)
- 近視予防 (38)
- 飛蚊症・光視症 (14)
- 黄斑円孔 (4)
- 黄斑前膜 (2)
- 未分類 (8)
アーカイブ
最新の記事
- 2025.4.30
- 小児近視進行抑制治療(リジュセア®ミニ点眼液0.025%)に関するよくあるご質問
- 2025.4.30
- 低濃度アトロピン点眼薬(リジュセアミニ点眼液)による近視進行抑制治療を開始します
- 2025.4.27
- 小児近視に対する赤色光治療に関する最新研究のご紹介
- 2025.4.23
- 新生血管型加齢黄斑変性の治療間隔ってどうやって決めてるの?
- 2025.4.15
- 糖尿病の“見えない”網膜の変化をキャッチする新技術
- 2025.4.6
- 糖尿病患者の血圧管理に新たな指針:厳格な血圧コントロールが心臓と目を守る
- 2025.3.31
- 令和7年ゴールデンウイークの診療について
- 2025.3.29
- 児童・生徒の近視進行を抑える点眼薬が日本でも使用可能に〜低濃度アトロピンとは?〜
- 2025.3.28
- クレジットカード利用時の「暗証番号」必須化について
- 2025.3.22
- 糖尿病網膜症の新しい治療法「ポートデリバリーシステム(PDS)」とは?