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米国眼科学会の機関紙Ophthalmology電子版に、「後部硝子体剥離の合併症」というタイトルの論文が掲載されましたので紹介します。
(ちなみに、この論文で引用された最初の論文は、American Journal of Ophthalmologyに掲載された私の論文です。)
眼球の中には、硝子体(しょうしたい)という生卵の白身のような、透明でゼリー状の物質が詰まっています。
この硝子体は網膜と接着しているのですが、硝子体の加齢による変化の結果、
或る日突然、硝子体が網膜から剥がれる、後部硝子体剥離が起こります。
硝子体剥離は眼球後方の網膜から始まり、前方に向かって進行します。
今回の論文では、後部硝子体剥離が生じた8305人が対象となり、
実に94.6%の症例が飛蚊症、44.9%の症例が光視症を自覚していました。
下記のグラフは、後部硝子体剥離が生じた症例の年齢分布です。
30歳代後半で後部硝子体剥離が生じることがありますが、50歳頃から症例数が増え、65~70歳で最も症例数が多いことがわかります。
オレンジの棒グラフは女性、青は男性です。
女性の方がやや若くして後部硝子体剥離が発生する傾向にあります。
Seider MI, et al. Complications of acute posterior vitreous detachment. Ophthalmology Fig. 1を引用 https://doi.org/10.1016/j.ophtha.2021.07.020
硝子体が網膜から剥離する際、網膜を引っ張り、網膜に裂け目(網膜裂孔)ができ、さらに網膜剥離が発生することがあり、
網膜裂孔・網膜剥離が後部硝子体剥離の最も重大な合併症です。
今回の研究では、448人(5.4%)に網膜裂孔が発生し、335人(4.0%)に網膜剥離が発生しました。
網膜裂孔や網膜剥離が合併するリククが高い症例は、下記の通りです。
・男性の方が女性よりも高い
・レーシック等の近視矯正手術を受けた症例
・近視が強い症例
・霧視(かすみや視力低下)が生じた症例
・網膜剥離の家族例がある症例
・60歳未満で後部硝子体剥離が生じた症例
後部硝子体剥離が生じた症例の5%、20人に1人に網膜裂孔が発生し、
発見が遅れると網膜剥離へと進展するリスクを有しています。
飛蚊症が突然強くなったり、さらに霧視を伴う場合は、早急に眼科での検査が必要です。