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適度なアルコール摂取、特に1日1杯の赤ワインが白内障進行を抑えるという論文が、米国眼科学会の機関誌であるOphthalmologyの電子版に掲載されました。
眼科研究機関として世界的に有名な英国ロンドンのムーアフィールズ眼科病院は、英国在住の49万人を対象に、食物摂取頻度質問票を用いてアルコールの摂取状況を調査し、経過観察中に白内障手術を受けたか否かとの関連性を検討しました。
その結果、1週間に6〜7杯のワインを飲んでいる人は、それ以外の人と比べ、経過観察中に白内障手術を受けた割合が低く抑えられていました。
英国や米国の飲酒ガイドラインによると、1週間に6〜7杯のワインは健康に問題のない摂取量であるとされています。
厚生労働省のホームページに示されている「節度のある適度な飲酒」の範囲内です。
この論文では、アルコールの種類にかかわらず、週に1〜2回あるいは3〜4回の飲酒頻度の人が経過観察中に白内障手術を受けた割合は、1ヶ月に1〜3回未満の飲酒頻度の人と比べ、7%ほど低下していました。
適量の赤ワイン摂取は飲酒しない人と比べ14%低下、白ワインやシャンパンは10%低下していました。
白内障は、目の中にある水晶体と呼ばれる透明な凸レンズが濁る病気です。
白内障は加齢に伴って増加し、日本では50歳代で37~54%、60歳代で66~83%、70歳代で84~97%、80歳以上で100%の人が白内障であると報告されています。
日本では1年間に160〜200万件の白内障手術が行われています。
白内障の進行には酸化ストレスが関与していると考えられています。
ヒトが生きるためには酸素が必要ですが、体内に取り込まれた酸素の一部は活性酸素に変化します。
活性酸素は適量であれば細菌などを攻撃する免疫機能として働きますが、増えすぎると正常組織も攻撃し、体に悪影響を与えます。活性酸素のバランスが崩れてしまった状態を酸化ストレスと呼びます。
ワイン、特に赤ワインにはポリフェノールが豊富に含まれており、ポリフェノールは酸化ストレスを減少させる、抗酸化作用を有しています。
適量の赤ワイン摂取により、ポリフェノールの抗酸化作用が白内障の進行を防いでくれると推測されます。
ただ、アルコールの飲み過ぎは種々の病気を誘発しますので、くれぐれもご用心ください。