ブルーライトカット眼鏡は逆効果
- 2021.4.19
- ブログ
- 紫外線、ブルーライト
- 近況報告
4月14日、 日本眼科学会は日本近視学会や日本小児眼科学会などと連名で、小児に対するブルーライトカット眼鏡の効果について否定的な意見書を発表しました。
ブルーライトは、太陽光に含まれる波長380~495nm前後の青色成分の光です。
意見書の冒頭で、「小児にブルーライトカット眼鏡を装用させることを推奨する動きが一部にありますが、我々は以下の科学的観点からそれを危惧するものであります。」 と述べています。
さらに意見書では、
「一般に販売されているブルーライトカット眼鏡は、デジタル端末使用時の睡眠障害や眼精疲労の軽減、また眼球への障害を予防すると謳っています。このうち、いわゆる体内時計とブルーライトの関係についてはいくつかの論文があり、夜遅くまでデジタル端末の強い光を浴びると、睡眠障害をきたす恐れが指摘されています。従って、夕方以降にブルーライトをカットすることには、一定の効果が見込まれる可能性はあります 。しかしながら、その他の点はエビデンスに乏しく、いくつかの問題点があります。 」と指摘し、以下のような根拠を示しています。
・デジタル端末の液晶画面から発せられるブルーライトは、曇天や窓越しの自然光よりも少なく、網膜に障害を生じることはないレベルであり、いたずらにブルーライトを恐れる必要はないと報告されている。
・小児にとって太陽光は、心身の発育に好影響を与え、十分な太陽光を浴びない場合、小児の近視進行のリスクが高まる。ブルーライトカット眼鏡の装用は、ブルーライトの曝露自体よりも有害である可能性が否定できない。
・最新の米国での研究は、ブルーライトカット眼鏡には眼精疲労を軽減する効果が全くないと報告している。
・体内時計を考慮した場合、就寝前ならともかく、日中にブルーライトカット眼鏡をあえて装用する有用性は根拠に欠ける。産業衛生分野では、日中の仕事は窓ぎわの明るい環境下で行うことが奨められている。
意見書は、「小児にブルーライトカット眼鏡の装用を推奨する根拠はなく、むしろブルーライトカット眼鏡装用は発育に悪影響を与えかねません。偏りのない情報と充分な科学的根拠に基づいて、小児の目の健康を守って頂くことを願います。 」と、締めくくっています。
ブログでは、体内時計(日内リズム)のためにブルーライトが必要であることや、子供の近視予防に太陽光を浴びることが有効であることなど、ブルーライトに暴露されることの必要性や過度な心配は無用であることを述べてきました。
本文内の下線部をクリックすると当該ブログを閲覧できますので、ご利用ください。
カテゴリー
- お知らせ (11)
- ブログ (465)
- iPS細胞 (19)
- IT眼症 (9)
- OCTアンギオ (9)
- アルツハイマー病 (8)
- アレルギー性結膜炎 (5)
- お困りごと解決情報 (17)
- こんな症状が出たら (35)
- サプリメント (15)
- スタッフから (5)
- ドライアイ (17)
- 中心性漿液性網脈絡膜症 (2)
- 人工知能(AI) (15)
- 加齢黄斑変性 (114)
- 外斜視 (1)
- 抗がん剤による眼障害 (2)
- 白内障 (25)
- 看護からのお知らせ (1)
- 眼精疲労 (12)
- 糖尿病網膜症 (55)
- 紫外線 (2)
- 紫外線、ブルーライト (6)
- 網膜前膜 (4)
- 網膜剥離 (17)
- 網膜動脈閉塞 (8)
- 網膜色素変性症 (7)
- 網膜静脈閉塞 (14)
- 緑内障 (34)
- 色覚多様性 (2)
- 講演会 (28)
- 近況報告 (85)
- 近視予防 (43)
- 飛蚊症・光視症 (16)
- 黄斑円孔 (5)
- 黄斑前膜 (3)
- 未分類 (12)
アーカイブ
最新の記事
- 2026.6.21
- 強い近視の方は緑内障に注意? ― 日本1400万人超の大規模研究からわかったこと
- 2026.6.14
- 「視力は良いのに見えにくい」― 網膜前膜で最初に低下するのは“読む力”かもしれません
- 2026.6.6
- 見えないところこそ大切に ― 手術室の空気環境を毎年確認しています
- 2026.5.31
- 白内障手術と同時に行う「iStent inject W」とは? ─ 最近の研究から見えてきたこと
- 2026.5.24
- 網膜の神経を守る“縁の下の力持ち” ― ミュラー細胞と新しい網膜保護の考え方
- 2026.5.16
- 「治療を休むと戻らない」―糖尿病黄斑浮腫で本当に怖いこと―
- 2026.5.14
- 眼瞼下垂に対するアップニーク®ミニ点眼液について
- 2026.5.9
- 「高い枕は目に良い?」― 緑内障と寝る姿勢の意外な関係
- 2026.5.4
- 5月1日、開業から10年が経ちました
- 2026.4.20
- 令和8年5月20日(水)診療について



理事長・院長