「先生の一文で救われました」-視界砂嵐症候群
「先生の一文で救われました」というお手紙をいただきました。
相模原市にお住いの男性からのお手紙で、
昨年2月から4月にかけて、月に1度の頻度で光視症が出現、症状は20〜30分持続し、消失したそうです。
この時、偏頭痛などの症状は伴わなかったとのことです。
今年の1月初旬、入浴中に「赤い砂粒が視界全体に砂嵐のように見える」症状が突然現れたそうです。
眼科と脳外科での検査では明らかな異常は認められなかったそうですが、症状は持続しました。
症状をインターネットで検索し、当ブログ「視界砂嵐症候群」をご覧になり、
かかりつけ医に相談し、片頭痛治療薬が処方され、服用2日後には症状が消失したそうです。
「視野全体に砂を撒き散らしたように見え、かすんで見えにくい。」とか、「砂嵐の中で物を見ているような、あるいは壊れたテレビ画面のような見え方で、日常生活ができない」という症状や、「飛蚊症のような浮遊物がたくさん見える」、「光が放射状に広がって眩しい」など、症状は多彩です。
視界砂嵐症候群の原因は完全には突き止められていませんが、
視覚に関連する領域の脳の代謝や循環の変化が関与するのではと推測されています。
現時点では神経作用を鎮める効果の薬や偏頭痛の治療薬などの内服が推奨されています。
お手紙をお送り頂いた男性が経験された昨年2月から4月にかけての光視症は、症状が20〜30分持続しており、いわゆる光視症というよりは閃輝暗点であろうと推測します。
典型的な閃輝暗点は、視覚症状の後で偏頭痛が生じます。
最近は偏頭痛を伴わない閃輝暗点の患者さんが増えているようです。
閃輝暗点の発症には、視覚に関連する領域の脳の代謝や循環が関与すると考えられており、今回の男性に片頭痛治療薬が著効した要因かもしれません。
当ブログが多少なりとも役に立っていることがわかり、大変励みになりました。お送りいただきましたお手紙に感謝申し上げます。
カテゴリー
- お知らせ (42)
- ブログ (403)
- iPS細胞 (18)
- IT眼症 (8)
- OCTアンギオ (7)
- アルツハイマー病 (7)
- アレルギー性結膜炎 (5)
- お困りごと解決情報 (17)
- こんな症状が出たら (34)
- サプリメント (13)
- スタッフから (5)
- ドライアイ (15)
- 中心性漿液性網脈絡膜症 (2)
- 人工知能(AI) (14)
- 加齢黄斑変性 (96)
- 外斜視 (1)
- 抗がん剤による眼障害 (1)
- 白内障 (19)
- 看護からのお知らせ (1)
- 眼精疲労 (11)
- 糖尿病網膜症 (41)
- 紫外線 (2)
- 紫外線、ブルーライト (6)
- 網膜前膜 (2)
- 網膜剥離 (14)
- 網膜動脈閉塞 (7)
- 網膜色素変性症 (7)
- 網膜静脈閉塞 (11)
- 緑内障 (26)
- 色覚多様性 (2)
- 講演会 (27)
- 近況報告 (82)
- 近視予防 (35)
- 飛蚊症・光視症 (14)
- 黄斑円孔 (4)
- 黄斑前膜 (2)
- 未分類 (8)
アーカイブ
最新の記事
- 2025.3.16
- ポリープ状脈絡膜血管症と渦静脈
- 2025.3.10
- 次世代の眼科検査「DREAM OCT」とは?
- 2025.3.5
- 糖尿病網膜症による牽引性網膜剥離に対する27ゲージ硝子体手術
- 2025.2.24
- 毎日新聞朝刊『使えぬマイナ保険証の「愚行」視覚障害者、顔認証に「がくぜん」』
- 2025.2.16
- 強度近視よる近視性黄斑症の進行リスクと令和6年度学校保健統計
- 2025.2.8
- 加齢黄斑変性と抗凝固薬
- 2025.2.3
- iPS細胞由来立体網膜シートによる網膜色素変性症治療
- 2025.1.26
- 初期・中期加齢黄斑変性に対するフォトバイオモジュレーション
- 2025.1.19
- 笑いがドライアイの治療になる
- 2025.1.13
- 後天性眼瞼下垂の点眼治療剤