網膜中心動脈閉塞症が減少
韓国全国民を対象に網膜中心動脈閉塞症を発症した患者数を調査した結果、患者数が減り続けていることが明らかになりました(JAMA Ophthalmology電子版掲載)。
2004年は1年間に10万人当たり2.9人が発症しましたが、2015年は2.1人に減少していました。
この減少傾向は男性よりも女性、65歳以上よりも65歳未満での発症者が顕著に減少していました。
網膜中心動脈閉塞症は、網膜を栄養する動脈が根元で詰まり網膜全体の働きが失われるため、失明に直結する病気です。
(脳を栄養する動脈が詰まって脳の機能が損なわれる脳梗塞の網膜版といった病気です)
網膜中心動脈が詰まる原因の多くは動脈硬化ですので、
網膜中心動脈閉塞症を発症した患者さんは、動脈硬化が原因となって発症する脳梗塞や脳出血、心筋梗塞を患った経験があったり、今後発症する危険性が高いことが知られています。
ここ数十年、世界的に脳梗塞や脳出血、心筋梗塞の患者さんが減少中です。
動脈硬化を進行させる高血圧や糖尿病の治療薬の進歩、喫煙者の減少が関係していると考えられています。
網膜中心動脈閉塞症を発症する患者さんが減少している理由は、脳梗塞や脳出血、心筋梗塞の減少と同様に、動脈硬化の進行防止の結果と思われます。
動脈硬化を促進させる高血圧や糖尿病、脂質異常症を有する方は、まずその治療をしっかり行いましょう。
そのうえで、適度な運動、バランスの取れた食生活、禁煙を実践することが動脈硬化の予防、ひいては網膜中心動脈閉塞症の予防につながります。
カテゴリー
- お知らせ (12)
- ブログ (438)
- iPS細胞 (19)
- IT眼症 (9)
- OCTアンギオ (8)
- アルツハイマー病 (7)
- アレルギー性結膜炎 (5)
- お困りごと解決情報 (17)
- こんな症状が出たら (35)
- サプリメント (14)
- スタッフから (5)
- ドライアイ (17)
- 中心性漿液性網脈絡膜症 (2)
- 人工知能(AI) (14)
- 加齢黄斑変性 (107)
- 外斜視 (1)
- 抗がん剤による眼障害 (2)
- 白内障 (22)
- 看護からのお知らせ (1)
- 眼精疲労 (12)
- 糖尿病網膜症 (51)
- 紫外線 (2)
- 紫外線、ブルーライト (6)
- 網膜前膜 (3)
- 網膜剥離 (16)
- 網膜動脈閉塞 (8)
- 網膜色素変性症 (7)
- 網膜静脈閉塞 (12)
- 緑内障 (29)
- 色覚多様性 (2)
- 講演会 (28)
- 近況報告 (83)
- 近視予防 (39)
- 飛蚊症・光視症 (15)
- 黄斑円孔 (4)
- 黄斑前膜 (3)
- 未分類 (10)
アーカイブ
最新の記事
- 2025.11.22
- 65歳以上の成人のための眼の健康情報
- 2025.11.16
- 「暗闇になじむまでが長い」はサイン? “暗順応”でわかる加齢黄斑変性の早期リスク
- 2025.11.8
- 内服薬で“黄斑”が傷む?最新研究が示した5つの要注意薬と上手なつきあい方
- 2025.11.1
- 網膜剥離は「防げる失明」:合図を知って、早く受診を
- 2025.10.26
- 「血糖だけ」じゃ足りない。低血糖も怖い: J-DOIT3が教える、網膜症予防の新常識
- 2025.10.17
- 点眼で加齢黄斑変性は治せる?最新研究が教えてくれる「期待」と「限界」
- 2025.10.11
- 散瞳検査と急性緑内障発作のリスク~瞳を広げる検査は安全なの?~
- 2025.10.3
- 飛蚊症や光が見えたら…「網膜剥離」になる前に知っておきたい目のサイン
- 2025.10.2
- 眼科疾患のリスク因子、診断・治療・予後の検討のための後ろ向き観察研究
- 2025.9.27
- 「進行は止められるのか?」─地図状萎縮の新治療と、患者たちの選択



理事長・院長