「2〜3分、右が見えなかった」
- 先日、70代の女性が受診されました。
- 「昨日の午前中、右が見えなくなることが何度か続いた。」とのことでした。
- さらにお話を聞くと、見えなくなる症状が2〜3分続き、その後、元どおりに見えるように戻った。これが数回、午前中に起きたそうです。
- その後、症状は出現しなくなったそうです。
- 私:「右が見えなくなったとは、右目が見えなかったということですか?」
- 患者さん:「右側が半分、見えませんでした。」
- 私:「その時、片目をつぶって、どちらの目に症状が出ているか確認してみました?」
- 患者さん:「いいえ、していません。」
- 私:「高血圧やコレステロールが高いということはありませんか?」
- 患者さん:「高血圧です。コレステロールが高めだって言われています。」
- 視力は正常で、目の中も特に病気はありませんでした。
- あえて言うと軽度の白内障。網膜血管には動脈硬化の所見を認めました。
- 網膜血管は以前から全身の動脈硬化の指標として使われています。
- 高血圧や高脂血症(高コレステロール血症)は動脈硬化の危険因子です。
- 症状が出現した時、右目をつぶっても、左目をつぶっても、視野の右側半分が見えなかったものと推測されます。
- この症状は、「右同名半盲」と呼ばれています。
- 左側の脳に病気があると起こりえる症状です。
- 症状が一過性でしたので、動脈硬化の影響もあり、一時的に脳の血流障害が起きたのではと推測しました。
- 患者さんの通院しやすい脳外科に検査を依頼しました。
- 数日後、紹介した脳外科から「左の側頭葉に小さな脳梗塞が見つかりました。症状に一致する部位です。」とのお返事をいただき、治療が開始されたそうです。
- 目からの視覚情報は、脳に伝わり認識されます。
- 脳に異変があっても見え方に問題が生じます。
- もちろん患者さんは、見え方の異常を訴え眼科を受診されます。
- 病気によって症状に特徴がありますし、全身状態も病気の鑑別に大切です。
- 症状が一過性であっても、重大な病気が潜んでいることもありますので、
- 今回の患者さんのように受診することが大切です。
カテゴリー
- お知らせ (37)
- ブログ (380)
- iPS細胞 (17)
- IT眼症 (8)
- OCTアンギオ (6)
- アルツハイマー病 (7)
- アレルギー性結膜炎 (5)
- お困りごと解決情報 (17)
- こんな症状が出たら (34)
- サプリメント (12)
- スタッフから (5)
- ドライアイ (14)
- 中心性漿液性網脈絡膜症 (2)
- 人工知能(AI) (13)
- 加齢黄斑変性 (91)
- 外斜視 (1)
- 抗がん剤による眼障害 (1)
- 白内障 (18)
- 看護からのお知らせ (1)
- 眼精疲労 (11)
- 糖尿病網膜症 (39)
- 紫外線 (2)
- 紫外線、ブルーライト (6)
- 網膜前膜 (2)
- 網膜剥離 (14)
- 網膜動脈閉塞 (7)
- 網膜色素変性症 (7)
- 網膜静脈閉塞 (11)
- 緑内障 (26)
- 色覚多様性 (2)
- 講演会 (26)
- 近況報告 (79)
- 近視予防 (31)
- 飛蚊症・光視症 (14)
- 黄斑円孔 (4)
- 黄斑前膜 (2)
- 未分類 (8)
アーカイブ
最新の記事
- 2024.9.16
- AMD Expert Meeting in Fukuoka
- 2024.9.5
- アイフレイル
- 2024.9.1
- 第3回HOPE Meeting
- 2024.8.23
- 加齢に伴う21の目の変化
- 2024.8.17
- AIが光干渉断層血管撮影の画像を解析し、小さな脳梗塞を診断
- 2024.8.7
- 白内障手術は高齢者の認知機能低下や痴呆症を予防します
- 2024.8.6
- 医療DXの推進について
- 2024.8.2
- 小中学生の近視実態調査
- 2024.7.26
- メラトニンは加齢黄斑変性の発症・進行を予防
- 2024.7.20
- 眼科コメディカルセミナー2024