造影剤不要な血管撮影(OCTアンギオグラフィー)
- 糖尿病網膜症・網膜静脈閉塞症・加齢黄斑変性は、網膜や脈絡膜の血管の病気です。
- ですから、血管の様子を評価する必要があります。
- これまでは、腕の血管から造影剤を注射し、眼底カメラなどで撮影する検査(蛍光眼底造影検査)で、血管の形態や機能を評価していました。
- 蛍光眼底造影検査には15分〜30分位の時間がかかります。
- 造影剤が体に合わず、吐き気をもよおしたり、蕁麻疹が出たり、極めてまれですがショック状態に陥る危険性もあります。
- 最近、造影剤を使うことなく網膜や脈絡膜の血管形態を評価することができる検査機器が開発されました。
- OCT(光干渉断層計)アンギオグラフィーでは、血管の中を流れる赤血球の動きから血管形態(血管の狭まりや詰まり、新生血管の発生など)を画像化することができます。しかも得られる画像は鮮明です。
- これにより、造影剤を使わずに数秒で、加齢黄斑変性で見られる脈絡膜新生血管の位置を特定したり、糖尿病網膜症の血管閉塞や網膜新生血管を評価することが出来るようになりました。
- また、緑内障診断に必要な視神経乳頭内の毛細血管の評価への応用も期待されています。
- また造影剤による副作用がありませんので、患者さんの負担が少なくなり、病気の本質である血管の様子をこまめに評価することが可能です。
- 当院でも開院時にOCTアンギオグラフィーの検査機器を導入し、日々の外来診療に活躍しており、その有用性を実感しています。
- 我が国では緑内障、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症が失明原因の上位に挙げられます。これらの疾患の早期発見のためにも、簡便な検査であるOCTアンギオグラフィーの活用機会が今後増えるものと予想されます。
カテゴリー
- お知らせ (12)
- ブログ (437)
- iPS細胞 (19)
- IT眼症 (9)
- OCTアンギオ (8)
- アルツハイマー病 (7)
- アレルギー性結膜炎 (5)
- お困りごと解決情報 (17)
- こんな症状が出たら (35)
- サプリメント (14)
- スタッフから (5)
- ドライアイ (17)
- 中心性漿液性網脈絡膜症 (2)
- 人工知能(AI) (14)
- 加齢黄斑変性 (106)
- 外斜視 (1)
- 抗がん剤による眼障害 (2)
- 白内障 (21)
- 看護からのお知らせ (1)
- 眼精疲労 (12)
- 糖尿病網膜症 (50)
- 紫外線 (2)
- 紫外線、ブルーライト (6)
- 網膜前膜 (3)
- 網膜剥離 (16)
- 網膜動脈閉塞 (8)
- 網膜色素変性症 (7)
- 網膜静脈閉塞 (12)
- 緑内障 (28)
- 色覚多様性 (2)
- 講演会 (28)
- 近況報告 (83)
- 近視予防 (39)
- 飛蚊症・光視症 (15)
- 黄斑円孔 (4)
- 黄斑前膜 (3)
- 未分類 (10)
アーカイブ
最新の記事
- 2025.11.16
- 「暗闇になじむまでが長い」はサイン? “暗順応”でわかる加齢黄斑変性の早期リスク
- 2025.11.8
- 内服薬で“黄斑”が傷む?最新研究が示した5つの要注意薬と上手なつきあい方
- 2025.11.1
- 網膜剥離は「防げる失明」:合図を知って、早く受診を
- 2025.10.26
- 「血糖だけ」じゃ足りない。低血糖も怖い: J-DOIT3が教える、網膜症予防の新常識
- 2025.10.17
- 点眼で加齢黄斑変性は治せる?最新研究が教えてくれる「期待」と「限界」
- 2025.10.11
- 散瞳検査と急性緑内障発作のリスク~瞳を広げる検査は安全なの?~
- 2025.10.3
- 飛蚊症や光が見えたら…「網膜剥離」になる前に知っておきたい目のサイン
- 2025.10.2
- 眼科疾患のリスク因子、診断・治療・予後の検討のための後ろ向き観察研究
- 2025.9.27
- 「進行は止められるのか?」─地図状萎縮の新治療と、患者たちの選択
- 2025.9.20
- 萎縮型加齢黄斑変性に治療薬「アイザベイ」



理事長・院長