光視症〜「ピカッと光が見える」
- 今回は「こんな症状が出たら」の第3弾、「光視症」についてです。
- 視野(見えてる範囲)の中に瞬間、ピカッと光を感じる症状が「光視症」です。
- 「ピカピカと光が見える」「キラキラしたものが見える」「稲光が見える」など、訴えの表現はさまざまです。
- 「目をつぶっても光って見えるんです」とおっしゃって来院される患者さんが多いです。
- その通り。光視症は眼をつぶっていても、暗い所でも症状が現れます。
- 網膜や硝子体といった眼内に原因がある場合(末梢性光視症)と
- 頭の中に原因がある場合(中枢性光視症)があります。
- 末梢性光視症では、一般的にどちらの眼(右眼なのか左眼なのか)に症状が生じているか、判別が可能です。
- 一方、中枢性光視症ではどちらの眼をつぶっても、光視症を自覚します。
- 末梢性光視症では、視細胞(網膜にある光を感じる細胞)が引っ張られる(牽引される)などの刺激を受け、視細胞に光が当たった時と同じ反応が起こり、光が無いにもかかわらずピカピカと光ったような自覚症状が現れます。
- 最も頻度の高い末梢性光視症は、後部硝子体剥離(硝子体の加齢性変化により、硝子体が網膜から剥離する現象)に伴う網膜牽引です。
- 耳側視野に垂直方向に光が走るのが典型的です。
- 後部硝子体剥離では飛蚊症も現れます。
- 後部硝子体剥離に伴い網膜裂孔・網膜剥離が生じることがあります。
- 網膜裂孔・網膜剥離では緊急の治療を要しますので、光視症と飛蚊症を同時に自覚したら、早急な眼底検査が必要です。
- 暗い所にしばらくいて、突然眼球を動かすと両眼同時に黄橙色の境界鮮明な光が瞬間的に見えることがあります。これも頻度の高い末梢性光視症です。
- 「起きたら、照明を点ける前の暗い部屋なのに光が見えた」と心配され来院される患者さんが多いようです。
- 急激な眼球運動によって硝子体が動き、その動きで網膜が牽引され、光を感じます。
- 中枢性光視症で最も多いのが閃輝暗点(せんきあんてん)です。
- ギザギザとした歯車状の光が視野の右か左に見え始め、次第に拡大、10~30分程で消失します。ギザギザの光の内部は曇っていて見えません。
- 典型例では閃輝暗点が消失すると、閃輝暗点が出現した視野の反対側に拍動性頭痛(片頭痛)が起こります。
- 頭の中の血管攣縮(血管が縮こまる)が閃輝暗点の発症に関係しているようです。
- 縮こまった血管がその後拡張し、片頭痛が起こると考えられています。
- 中枢性光視症を訴える患者さんの中には、頭の中に病気がある方もおられます。
- 光視症がどちらの眼に生じたかの判別がつかなかったり、閃輝暗点の発生頻度が増えてきた方は、診察を受けられることをお勧めします。
- 光視症の患者さんの中には、早急な治療を要する方もおられます。
- 症状がおありの方は、眼科医にご相談ください。
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