網膜色素変性症ランナーII
2021年の箱根駅伝も見所満載でした。
総合優勝を果たした駒澤大学には、諦めずに最後までやり抜くことの大切さを教えてもらった気がします。
今年の箱根駅伝で大躍進を遂げたのが往路優勝・総合2位の創価大学でした。
創価大学はどの区間の選手も素晴らしい走りを見せてくれましたが、
4区(嶋津雄大選手)と8区(永井大育選手)を走った「網膜色素変性症」という病気で視機能にハンデを持つ二人の選手の力走は見事でした。
嶋津選手は、昨年10区の区間新記録を樹立する快走でしたので、
昨年年頭の本ブログで、嶋津選手が視機能のハンデと対峙しながらトレーニングに励んでいることや、同じ病気の選手と月間750キロを共に走り込み、切磋琢磨していることを紹介しました。
嶋津選手と一緒に練習していたのが、今年8区で箱根デビューを果たした永井選手です。
「網膜色素変性症」は光を感じる網膜細胞の遺伝子が原因で、網膜細胞の働きが徐々に悪くなる進行性の病気です。
暗い所で見えにくい(夜盲)、見えている範囲が狭くなる(視野狭窄)などの症状が現れ、病気の進行により視力が低下します。
二人の選手は早朝や薄暮・夜間の暗い環境での練習にハンデがありますが、創価大学にはLEDライト照明が完備された練習場があるそうです。
冬場は日が短く暗いため、早朝練習は他のチームメートとは別メニューで照明設備が整った練習場を、夜は体育館内を2人だけで走り込んだそうです。
現在のところ網膜色素変性症に対する根本的な治療法は確立されていませんが、治験中のiPS細胞を用いた視細胞移植治療や病気の原因となっている遺伝子を本来の遺伝子に修正する治療などの研究が進行中です。
箱根駅伝では帽子やサングラスを着用して走る選手は稀なのですが、
嶋津選手はつばの大きな帽子をかぶり陽射しを避けていましたし、
永井選手はサングランスをかけていました。
網膜細胞は強い光を長時間受けるとダメージを生じることが確認されており、網膜色素変性症の患者さんは網膜細胞を保護するために、サングラスなどで遮光することが勧められています。サングラスの色が濃すぎると、暗くなりますので加減が必要です。
両選手はいずれも3年生ですので、来年の箱根駅伝での益々の活躍が期待されます。
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