iPS細胞から作成した網膜視細胞を網膜色素変性症患者に移植
神戸アイセンター病院の研究チームは、iPS細胞から作成した網膜視細胞を網膜色素変性症の患者に移植する手術を10月上旬に無事終了したと発表しました。
今回の手術は、iPS細胞から作成した網膜視細胞を人に移植する、世界初の臨床研究です。
神戸アイセンター病院の研究チームは、平成26年に加齢黄斑変性の患者にiPS細胞から作成した網膜色素上皮細胞を移植し、世界で初めてiPS細胞を用いて人の治療を行い、大変話題となりました。
病気の原因は異なりますが、網膜色素変性症と加齢黄斑変性では網膜の視細胞と色素上皮細胞の働きが低下し、重篤な視機能障害をきたします。
視細胞は目に届いた光を感じ取る細胞です。色素上皮細胞は視細胞の働きをサポートしており、色素上皮細胞の働きが悪くなると、視細胞の機能が低下してしまいます。
色素上皮細胞が悪くなった目に色素上皮細胞を移植することで、色素上皮細胞の働きが改善し、視細胞が減っていくのを止めることができるのです。
逆に言うと、視細胞の障害が既に進行していると、色素上皮細胞を移植しても、視機能の回復は望めません。
視機能の回復には視細胞機能の回復が不可欠な症例があり、視細胞移植が必要となります。
視細胞は脳と同じ中枢神経の一部で、脳と同様に再生することは難しいと思われていました。
しかし、近年ではiPS細胞から網膜を作ることができるようになってきました。
神戸アイセンター病院の研究チームは、「今回の臨床研究は、これまで有効な治療法がなかった網膜色素変性症の治療法としてだけではなく、再生しないとされてきた中枢神経の細胞の手術という意味でも大きな進歩だ。中枢神経の再生は多くの患者、医療従事者の長年の夢であり、ほんの小さな1歩だが、無事に踏み出せたことは非常に感慨深い」と記者会見で述べています。
再生医療は急ピッチで進歩しており、近未来の治療法は大きく変わっていくことが期待されます。
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理事長・院長