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加齢黄斑変性に対する他家iPS細胞を用いた治療の1年後成績

先週末は東京で開催された第123回日本眼科学会総会に参加しました。

総会初日の4月18日、理科学研究所と神戸市立中央市民病院などのチームは、他人のiPS細胞(他家iPS細胞)から作った網膜色素上皮細胞を滲出型加齢黄斑変性の5眼に移植した世界初の臨床研究の、1年後治療成績を報告しました。

5眼とも移植した細胞は腫瘍化せず黄斑部に定着し、1眼で軽い拒絶反応があったものの、眼局所のステロイド薬投与のみで拒絶反応を抑えることが可能でした。

また5眼とも視力は維持されているそうです。

今回の研究結果により、他家iPS細胞由来の網膜色素上皮細胞移植の安全性が確認されました。

他人のiPS細胞を利用する治療は、患者本人のiPS細胞を利用する治療に比べ、費用や準備期間を抑えることができます。

ヒトの皮膚や血液からiPS細胞を作るには、多くの費用と時間を要します。

今回のように、あらかじめ健康な他人の皮膚や血液からiPS細胞を作り、それを増やして備蓄することで、費用や準備期間を減らすことができます。

ただ、他人のiPS細胞を利用した場合は、他人の細胞を除去しようとする反応(拒絶反応)が懸念されます。

様々な型のiPS細胞を準備し、患者に合ったiPS細胞を選択することで、拒絶反応を抑えられます。

今回の報告でiPS細胞の安全性が確認されたことは、他家iPS細胞を利用した治療の実用化に向けた大きな成果です。

加齢黄斑変性以外の疾患に対する他家iPS細胞を利用した臨床研究も加速すると期待されます。

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