星状硝子体症
間もなくゴールデンウイーク。
今年は、天皇陛下が御退位される4月31日と、新天皇陛下が御即位される5月1日が「国民の祝日」となり、また新たな元号、令和がスタートする特別な連休になります。
ところで、眼について“ゴールド”と言われて真っ先に思い浮かぶ疾患が「星状硝子体症」です。
眼底検査や人間ドックの眼底写真などで、目の中にキラキラと星を散りばめたように、ゴールドに光る顆粒状の濁りを認めることがあり、星状硝子体症と呼ばれています(写真)。

日常の眼科診療で時折見かける、決してまれな所見ではありません。
この金色顆粒の正体はリン酸カルシウムで、眼球内の硝子体という空間に浮んでいます。金色顆粒を数個認める症例から無数に存在する症例まで、星状硝子体症の程度は症例によりさまざまです。
原因はわかっていませんが、糖尿病や高血圧、高脂血症などを有する患者さんで星状硝子体症の頻度が高くなると報告されています。
写真の患者さんは、金色顆粒が多すぎて、硝子体の奥にある網膜の様子がぼんやりとしか観察することができません。
こんなに金色顆粒がたくさんあると光が網膜まで届きにくく、さぞや視力が悪いのではと推測される方が多いのではと思います。
ところが、この患者さんの視力は(1.2)。
自覚症状は全く無く、検診の眼底写真で要検査となりました。
星状硝子体症の患者さんのほとんどは自覚症状がなく、視力低下もありません。まれに、飛蚊症や視力低下を自覚する方がおられます。
このまれな自覚症状の強い患者さんが、多数の金色顆粒で混濁した硝子体を切除する手術(硝子体手術)の適応になります。
しかし、かつては星状硝子体症への硝子体手術は禁忌、行ってはいけないと硝子体手術の教科書に書いてありました。
星状硝子体症への硝子体手術は、術中・術後に網膜裂孔や網膜剥離という合併症の頻度が高いことが知られています。
硝子体手術では単に硝子体の混濁を取り除くだけではなく、網膜と接着している硝子体を網膜から剥がし、混濁を含め硝子体をしっかり除去します。
星状硝子体症では硝子体と網膜の接着が強固で、硝子体を網膜から剥がす際に、網膜が引っ張られ網膜が裂けたり(網膜裂孔)、網膜剥離が生じるリスクが高いのです。
現在では術中に網膜裂孔や網膜剥離が生じても、術中の適切な処置で対応可能となっていますが、手術の適応については慎重に検討しなければなりません。
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