アルツハイマー病の治療新薬と加齢黄斑変性
6月8日、アルツハイマー病の治療薬としてアメリカの製薬会社と日本のエーザイが共同で開発した新薬を、米国FDA(食品医薬品局)が治療薬として承認したことが、マスコミなどに大きく取り上げられました。
このアルツハイマー病の治療新薬は、脳内に溜まり病気の原因となる異常なタンパク質「アミロイドベータ」を取り除き、神経細胞が壊れるのを防ぐことで、病状の進行を抑える効果が期待されます。
従来のアルツハイマー病治療薬は、残った神経細胞の働きを活発にすることで症状の進行を遅らせるもので、脳の神経細胞が壊れていくことを止める作用はありませんでした。
今回の新薬は、病気の進行そのものを抑える根本的な治療薬として画期的です。
以前のブログでご紹介しましたが、アミロイドベータという異常タンパク質は、加齢に伴い網膜の中心部(黄斑)に溜まってきます。
この蓄積が進行し、黄斑部に黄白色の沈着物(軟性ドルーゼン)として観察されるようになると、初期段階の加齢黄斑変性と診断されます。
言い換えると、軟性ドルーゼンの主成分はアミロイドベータで、
黄斑へのアミロイドベータの蓄積が加齢黄斑変性の初期変化なのです。
加齢黄斑変性が進行すると、視野の真ん中が暗く見えなくなったり、物がゆがんで見えるようになり、視機能の著しい低下をきたします。
アミロイドベータの蓄積という点で、アルツハイマー病と加齢黄斑変性は共通しており、アルツハイマー病の患者さんは加齢黄斑変性の発症リスクが高いことが報告されています。
アミロイドベータを取り除く作用を有する今回の新薬は、血管に注射する薬です。
薬剤は血流にのって黄斑にも到達しますので、黄斑の軟性ドルーゼンを消失させる可能性が期待されます。
将来はアミロイドベータを取り除く薬剤が、加齢黄斑変性の初期病変である軟性ドルーゼンを消失させることで、視機能が低下するような進行期の加齢黄斑変性が無くなるかもしれません。
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理事長・院長