アルツハイマー病と加齢黄斑変性
- 2月1日、国立長寿医療研究センターと2002年にノーベル化学賞を受賞された島津製作所の田中耕一先生などの研究グループが記者会見し、
- 微量の血液から早期アルツハイマー病変の有無を高精度で判定できる測定技術を開発し、
- その成果が科学雑誌「Nature」電子版に掲載されたことを報告されました。
- アルツハイマー病では、症状が現れる20~30年前からアミロイドベータという異常タンパクが脳にたまり始めることが知られています。
- 現在、アミロイドベータ蓄積の有無を確かめるには、脳脊髄液を採取するか高額な費用がかかるPET(陽電子放射断層撮影)検査を受ける必要があります。
- グループは、0.5ccの血液から3種類のアミロイドベータ関連物質の量を測定し、この比率からアミロイドベータ蓄積の有無が判明することを突き止めました。
- この検査法はアルツハイマー病の予防・早期発見や治療に役立つと期待されます。
- 実はアミロイドベータ、目の病気にも関わりがあるのです。
- 視野の真ん中が暗く見えなくなり、物がゆがんで見え、視力低下が進行する加齢黄斑変性。
- 加齢黄斑変性の初期段階で、網膜の中央付近(黄斑部)にドルーゼンと呼ばれる黄白色の物質が沈着します。
- このドルーゼンの中にアミロイドベータが含まれているのです。
- アルツハイマー病の患者さんは、加齢黄斑変性の発症リスクが高いという報告もあります。
- つまり、「アルツハイマー病の予防・早期発見・治療」は「加齢黄斑変性の予防・早期発見・治療」にもつながる可能性があります。
- 例えば、アルツハイマー病の治療を目的として開発されたアミロイドベータの蓄積予防や抑制効果のある薬は、ドルーゼンの予防や退縮につながり、加齢黄斑変性の発症予防や進行防止に役立つ可能性が期待されます。
- アルツハイマー病も加齢黄斑変性も高齢者の日常生活に様々な支障をもたらし、生活の質を低下させる疾患として、世界中で治療法が研究されています。
- 今回発表された血液検査がきっかけとなり、アルツハイマー病や加齢黄斑変性の治療薬が開発され、たくさんの患者さんが救われることになると、
- 田中耕一先生の2個目のノーベル賞受賞が現実となるかもしれません。
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