2024年米国眼科学会(AAO)総会
2024年の米国眼科学会(AAO)総会が10月18日〜21日の日程で、シカゴで開催されました。
AAO総会は毎年秋、米国が大リーグのプレーオフやワールドシリーズで盛り上がるこの時期に開催されます。
AAO総会では、最新の研究成果が報告されたり、新たな知見や話題が議論されますので、世界各国から何万人もの眼科医が参加し、各国の眼科医療メーカーのおびただしい数の展示ブースが出展されます。
複数の講演や討論会などが別々の会場で同時進行しますので、幾つもの講演会場と広大な展示スペースがある会議場を有し、かつ数万人の宿泊が可能な米国の都市で開催されます。
今年は残念ながら参加できませんでしたが、総会の開催期間中は当日のトピックスについての情報がAAOからメールで送られてきました。
今年のトピックスの一つは、ロボティック眼手術です。
現在は4つの企業が手術の精度や安全性を向上させることを目標に、ロボットを介する眼科手術の開発に鎬を削っているようです。
開発中のロボティック眼手術には下記の2種類あります。
・AI搭載の手術ロボットが手術を行い、眼科医は別室のモニターで観察している。
・眼科医は手術を受ける患者様から少し離れたところでロボットアームを操作し、その動きがロボットに伝達され、手術を遂行する。
ただ、ロボティック眼手術の開発は緒に着いたばかりです。現時点では眼科医の手術操作よりも遅く未熟で、機器が高額とのことですが、開発者は「いずれは眼科手術が全て、ロボティック手術に置き換わる日が来る」と言っています。
加齢黄斑変性(AMD)については、新たに登場した治療薬の評価が議論されました。
新生血管型(従来の滲出型) AMDの治療薬として近年新たに承認されたブロルシズマブ、ファリシマブ、アイリーア8mgの実臨床での有効性が検証され、第3相臨床試験の結果以上の良好な成績が報告されました。
萎縮型はこれまで有効な治療法が無かったのですが、二つの薬剤が治療薬として認可されました。治療効果が弱く、かつ新生血管型AMDの発症リスクが高まる副作用があるといった問題点があり、認可された薬剤を診療の現場で患者様に使用すべきか否かについて活発な議論が行われたようです。
開発に携わった眼科医は、治療法が無かった萎縮型AMDに対する治療薬が登場したことの意義を強調し、使用の推進を勧める発言をする一方で、薬剤が高額なこともあり、価格に見合った効果が得られないという意見も出たようです。
ビタミンC・E、亜鉛、ルテインを一緒に服用することで、AMDが重症期(新生血管型と萎縮型)に進行することを予防する効果が確認されており、AMDの患者様には服用が推奨されています。
今回新たな報告として、重症期に移行してしまった萎縮型AMD症例がビタミンC・E、亜鉛、ルテインが配合されたサプリメントを服用することで、視力低下を防ぐことが確認されたことが報告されました。
AAO総会の最終日には、「今年はご参加いただけませんでしたが、来年は是非とも会場でお会いしましょう」とメッセージが送られてきました。
こんなメッセージが届くと、来年は参加したいと思いますよね。
まずはお昼にハンバーガーを食べました。
気分はアメリカです。
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