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前回のブログで先日開催された米国眼科学会総会のトピックスを紹介しました。
その中で、萎縮型加齢黄斑変性に対する治療薬として認可された薬剤は、治療効果が弱い割に高価で、かつ新生血管型加齢黄斑変性の発症リスクを高めるなどの副作用があるため、使用には慎重を要すること、その一方、ビタミンC・E、ルテイン/ゼアキサンチンを配合したサプリメントの服用が、萎縮型加齢黄斑変性の萎縮病巣の拡大を抑える効果があること、特に網膜の中心部分への拡大を抑制する効果があり、視力低下を遅らせることが確認されていることを紹介しました。
つまり、萎縮型加齢黄斑変性に対しては、高価な薬剤を使用しなくとも、サプリメントの服用で病状の進行を抑え、視機能の維持につながる可能性がるという訳です。
この話題の根拠となったAge-Related Eye Disease Study(AREDS、加齢によるに眼疾患に関する研究)グループの論文が、米国眼科学会の機関誌Ophthalmology電子版に掲載されていますのでご紹介します。
萎縮型加齢黄斑変性は両眼性の疾患で、網膜中央部である黄斑部網膜に円形あるいは楕円形の萎縮病巣が複数出現し、萎縮病巣が徐々に拡大するため、両眼の視機能低下がゆっくりと進行します。全世界で500万人を超える患者様がおられると推測されています。
通常、萎縮病巣は網膜の中心から少し離れた場所に発生します。
徐々に拡大し網膜中心も萎縮すると、視機能が著しく低下します。
論文では、サプリメントの服用が加齢黄斑変性の重症化(新生血管型あるいは萎縮型への進行)を抑える効果について検討したAREDSとその後に行われたAREDS2の結果を、萎縮病巣の経時変化に着目し再検討しました。
その結果、活性酸素を除去する作用のあるビタミンCとビタミンEを服用した方は、服用していない方と比べ、萎縮病巣が網膜中心部へ拡大するのが遅く、視力低下を遅いことが確認されました。
また、ルテイン/ゼアキサンチンを服用した方は、服用していない方と比べ、萎縮病巣が網膜中心部へ拡大が遅いことが確認されました。
さらに、ビタミンCとビタミンEに加え、ルテイン/ゼアキサンチンを一緒に服用することで、萎縮病巣の網膜中心部への拡大を遅くらせる効果が高まることが分かりました。
以上から、AREDSで推奨されたビタミンC・ビタミンE・ルテイン/ゼアキサンチンと亜鉛を一緒に含んだサプリメントは、新生血管型あるいは萎縮型加齢黄斑変性に重症化することを抑制する作用がありますし、萎縮型加齢黄斑変性では病状の進行を抑え、視力低下を抑える効果があることが示されました。
日本では50歳以上の1.2%が血管新生型加齢黄斑変性、0.1%が萎縮型加齢黄斑変性に罹患していると報告されています。
加齢黄斑変性の方にはビタミンC・ビタミンE・ルテイン/ゼアキサンチン・亜鉛のサプリメントの内服がお勧めです。