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裂孔原性網膜剥離は世界的に増加傾向です

裂孔原性網膜剥離は、網膜に裂け目(網膜裂孔)ができ、ここから眼球内の液体が網膜の裏に流れ込み、眼球壁に接着している網膜が眼球壁から剥がれる疾患です。

ひとたび網膜が剥がれてしまうと、自然に元に戻ることはなく、剥がれている網膜の範囲が拡大しますので、観血的手術が必要となります。

目をカメラに例えると、網膜はフィルムに相当し、外界からの光を感じる働きをしています。

剥離した網膜は外界からの光を感じることができないため、剥離網膜の部分の視野が欠けてしまいます。

したがって、剥がれている網膜の範囲が拡大することで、視野欠損も拡大します。

物を見つめる時にピントが合う網膜の中心部分が剥がれると、視野の真ん中が見えなくなり、視力が低下します。

網膜裂孔ができただけで網膜が未だ剥がれていなければ、網膜光凝固術(レーザー治療)が適応となります。

さて、レビュー誌として眼科領域で最も権威のあるSurvey of Ophthalmologyの最新号に、「裂孔原性網膜剥離の国際的発生頻度と経時的趨勢」と題したシンガポール国立眼研究所(SERI)からの論文が掲載されました。

レビュー誌は、既存の学術情報を統合し、再考、批評、評価する学術誌です。

この研究では21ヵ国から報告された裂孔原性網膜剥離に関する33の論文を集約し、27万4836眼の裂孔原性網膜剥離を検討しました。(日本からも2つの論文が検討対象となっています。)

その結果、1年間に裂孔原性網膜剥離を発症する割合は、1万人に1.22人でした。

1997年から2019年では、裂孔原性網膜剥離を発症する割合が年々増加しており、10年間に1万人あたり0.54人増加するペースでした。

地域別では、ヨーロッパでの発症割合が1.30人/1万人と最も高く、続いて日本を含むアジア(0.99/1万人)、アメリカ大陸(0.90/1万人)の順でした。

裂孔原性網膜剥離を発症しやすい要素としては、男性・高齢者・近視・裂孔原性網膜剥離の他眼・家族歴などでした。

論文では裂孔原性網膜剥離の発症頻度の増加は、先進国での高齢化や近視の増加が関与していると考察しています。

地域による発症頻度の違いは、高齢化の進み具合の違いや、眼科医療へのアクセスのし易さの違い(網膜裂孔ができただけで網膜が剥がれていない段階で網膜光凝固術を受け、網膜剥離への進行を予防できる医療状況にあるか)などが関与しているのではと推測しています。

高齢者の網膜裂孔や裂孔原性網膜剥離は、目の加齢性変化である後部硝子体剥離(網膜と接着している硝子体が網膜から剥がれる現象)が生じる際に、数パーセントの頻度で発生すると報告されています。

後部硝子体剥離が生じると飛蚊症が強くなりますし、

網膜裂孔が発生すると、網膜血管が裂けて出血が目の中に浮遊するため、飛蚊症が増強します。

飛蚊症の悪化を自覚されたら、すぐに眼科を受診してください。

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