3歳児健診
2024.10.9 ブログ
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2019年12月22日のブログで、開発中の老眼治療点眼薬の第3相臨床治験が計画されていることを紹介しました。
2021年11月、ブログで紹介した、瞳を小さくする(縮瞳)作用で、ピントの合う距離が長くなるピンホール効果を利用し、手元の見えにくい老眼の症状を改善させる点眼薬が、世界初の老眼を適応とした治療薬として、FDA(米国食品医薬品局)の承認を受けました。
第3相臨床治験では40〜55歳の成人男女750人が参加し、治療薬の効果が検討され、「薄暗がりでの遠方視力の低下を伴わない近方視力の改善」が確認されました。
1日1回の点眼で、点眼15分後から手元の見え方が改善し、30日間連続の点眼で最長6時間、効果が持続したそうです。
この点眼薬の主成分は、緑内障の治療薬として使用されているピロカルピンという物質で、緑内障治療として一般的に使用されている点眼薬よりは低濃度(1.25%)です。
緑内障点眼薬では縮瞳作用が強力なため、目の中に入る光の量が減り、視界が暗くなります(暗黒感)。
老眼治療薬の濃度では、暗黒感の副作用は現れないようですが、頭痛と充血が5%の患者さんで生じたと報告されています。
緑内障治療では、濃度が2%のピロカルピン点眼薬を用いることが多く、1日3~5回点眼します。
ピロカルピン緑内障点眼薬は以前から眼科で使用されている薬ですが、暗黒感の他に、白内障の進行や目の刺激感・眼痛、下痢や発汗・唾液分泌増加といった副作用が起こり得ることや、新たに登場した緑内障治療薬の効果が良好なことなどの理由により、最近はあまり使用されていません。
老眼は、目の中にある水晶体が加齢に伴い弾力を失うことで、近くにピントを合わせる調節力が低下し、近くが見えにくくなった状態です。
今回の老眼治療点眼薬は、ピンホール効果を利用して、近くが見やすくなる効果を期待する薬ですので、加齢による老眼の原因そのものを改善させるわけではありません。
現時点で日本では未承認ですので、医療機関で処方することはできませんが、
お困りの症状を緩和させる治療法のひとつとして、近い将来、日本でも選択肢が増えることが期待されます。