老眼治療の点眼薬
- 2019.12.22
- ブログ
皆さんご存知のように、老眼は近くのモノを見た時にピントを合わせられない状態です。
薄暗い場所で文字が見えにくかったり、手元にピントが合いにくいといった症状が現れます。
老眼の原因は、目の中にある水晶体が加齢に伴い弾力を失うことです。
その結果、近くにピントを合わせる調節力が低下し、老眼の症状が出現します。
加齢が老眼を引き起こしますので、遅かれ早かれ誰もが老眼になります。
私の知る限り、現在、2種類の老眼治療点眼薬の開発が進行中です。
興味深いことに、双方の薬剤の作用機序は全く異なっています。
一つの点眼薬は、瞳を小さくする(縮瞳)作用があります。
瞳が小さくなると、瞳が大きいときと比べ、近くや遠くにピントを合わせることができる距離が長くなり、ピンホール効果と呼ばれています。
カメラの絞りを絞ることで、ピントの合う距離が長くなるのは、まさにピンホール効果です。
点眼薬でカメラの絞りを絞るように縮瞳させ、ピントの合う距離を長くすることで、手元の見えにくさを改善し、老眼を治療します。
もう一つの点眼薬は、水晶体が加齢に伴い失った弾力を回復させる作用があります。その結果、加齢に伴い低下した調節力が改善し、老眼を治療することができます。
完全に調節力を回復させるという訳にはいかないようですが、10歳くらい若返るようなイメージだそうです。
いずれの点眼薬も、米国で第2相臨床試験が終了しました。
第3相臨床試験で点眼薬の有効性が確認され、FDA(米国食品医薬品局)の承認が得られると、米国で薬剤の販売、使用が可能となります。
高齢化社会の日本には待ち遠しい点眼薬ですね。
カテゴリー
- お知らせ (10)
- ブログ (424)
- iPS細胞 (19)
- IT眼症 (9)
- OCTアンギオ (8)
- アルツハイマー病 (7)
- アレルギー性結膜炎 (5)
- お困りごと解決情報 (17)
- こんな症状が出たら (35)
- サプリメント (13)
- スタッフから (5)
- ドライアイ (17)
- 中心性漿液性網脈絡膜症 (2)
- 人工知能(AI) (14)
- 加齢黄斑変性 (101)
- 外斜視 (1)
- 抗がん剤による眼障害 (1)
- 白内障 (20)
- 看護からのお知らせ (1)
- 眼精疲労 (12)
- 糖尿病網膜症 (48)
- 紫外線 (2)
- 紫外線、ブルーライト (6)
- 網膜前膜 (3)
- 網膜剥離 (14)
- 網膜動脈閉塞 (8)
- 網膜色素変性症 (7)
- 網膜静脈閉塞 (11)
- 緑内障 (27)
- 色覚多様性 (2)
- 講演会 (28)
- 近況報告 (83)
- 近視予防 (39)
- 飛蚊症・光視症 (14)
- 黄斑円孔 (4)
- 黄斑前膜 (3)
- 未分類 (9)
アーカイブ
最新の記事
- 2025.8.17
- 新登場目前 “症状そのもの”に効くドライアイ薬と、“水はけ”を良くする緑内障薬
- 2025.8.10
- 「見える」をもう一度:HOPE Meeting vol.4で感じた視機能再建の現在地
- 2025.8.1
- 「見る」を取り戻す未来へ:イーロン・マスク氏と視覚再生技術の最前線
- 2025.7.28
- 令和7年お盆休みのお知らせ
- 2025.7.27
- サンデグラジェノックス販売終了のお知らせ
- 2025.7.27
- 白内障と骨折リスクの意外な関係:手術がもたらす“転ばぬ先の杖”
- 2025.7.20
- 9か月に1回で視力を守る時代へ 糖尿病網膜症に登場した“埋め込み式”治療を解説
- 2025.7.13
- 見えにくさの原因に「老化細胞」?―注目の新薬「セノリティック」とは
- 2025.7.9
- 糖尿病で目が見えなくなる時代は変わった?―糖尿病網膜症の20年間の変化を解析
- 2025.6.30
- “目が見えなくなる美容医療”がある – AAOが明らかにしたヒアルロン酸注射の失明リスク