遺伝性網膜ジストロフィに対する遺伝子治療の国内治験が進行中
7月11日夕方のNHKニュースで、
遺伝性網膜ジストロフィという目の病気に対し、遺伝子治療の治験が国立病院機構東京医療センターで進められており、これまでに4歳以上の患者4人への投与を終えたと報じられました。
2017年9月と年末のブログで紹介した治療が、日本での承認を目指し、治験が進行中であるというニュースです。
網膜色素変性症やレーベル先天黒内障などの遺伝性網膜ジストロフィは、遺伝子の異常が原因で光を感じるのに必要なたんぱく質が作られず、網膜細胞の機能低下や脱落が起こり、視力低下や視野狭窄が進行する病気です。
今回はRPE65という遺伝子の異常がある患者さんに対し、
正常なRPE65遺伝子を特殊なウイルスに組み込み、黄斑(網膜中央部)下に注入します。
患者の網膜細胞にこのウイルスが取り込まれると、異常のあるRPE65遺伝子が正常な状態に修復され、網膜細胞の機能が回復します。
RPE65遺伝子の修復治療の結果、軽度の視力改善や黄斑部網膜の光に対する感度改善などの治療効果が確認されており、米国では遺伝性網膜ジストロフィに対する治療法として既に認可されています。
今回の治験で安全性や効果が確認され、治療薬として厚生労働省から承認されれば、目の病気では国内初の遺伝子治療になると期待されています。
遺伝子治療は、遺伝子の異常が原因で起こる病気を正常な遺伝子を補うなどし
て治療します。
遺伝子治療はこれまで治療法がなかった遺伝性の病気に対する治療法として期待されており、RPE65遺伝子のみならず、他の遺伝子の異常が原因で引き起こされる疾患への治療法として、普及が待ち望まれます。
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