遺伝性網膜ジストロフィ患者さんに朗報です
- 2017.9.9
- ブログ
- 網膜色素変性症やレーベル先天黒内障などの遺伝性網膜ジストロフィに対する遺伝子治療の有効性と安全性を報告した論文が、8月末、世界五大医学雑誌のひとつであるLancetに掲載されました。
- 遺伝性網膜ジストロフィは、網膜の働きに関わる遺伝子の一つが変異することにより、網膜細胞の機能の低下や網膜細胞の脱落が起こり、視力低下や視野狭窄が進行する疾患です。
- 網膜ジストロフィの原因となる遺伝子変異は、既に220種類以上報告されています。
- アイオワ大学のRussell教授らのグループは、網膜ジストロフィの中でも重篤な視機能障害が若年期から進行する、RPE65遺伝子の変異で生じる網膜ジストロフィ患者を対象に、遺伝子変異を修復させる治療を20例に行い、1年間の視機能の変化について、治療を行わなかった9例と比較しました。
- 治療法は、正常なRPE65遺伝子を特殊なウイルスに組み込み、これを手術により黄斑部網膜下に注入します。すると、このウイルスを取り込んだ網膜細胞のRPE65遺伝子が正常な状態に修復され、網膜細胞の機能が回復するというものです。
- 遺伝子の修復治療の結果、軽度の視力改善や黄斑部網膜の光に対する感度改善などの治療効果が確認されました。一方、重篤な合併症は認められず、治療の安全性も確認されました。
- 本研究は現在も進行中で、治療後3年目までの治療経過を観察することになっているそうです。
- 今回の成果は、現時点では治療法がなく、かつ重篤な視機能が生じる遺伝性網膜ジストロフィに対するRPE65遺伝子治療の有効性と安全性を実証した点において画期的なものです。
- さらにRPE65遺伝子のみならず、他の遺伝子変異が原因となる疾患に対する遺伝子治療の可能性を期待させます。
- 本治療法が世界中に広く普及するためには、幾つかの問題点を克服しなければなりませんが、実用化への拍車がかかるものと思われます。
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理事長・院長