滲出型加齢黄斑変性・糖尿病黄斑浮腫・網膜静脈閉塞黄斑浮腫の新たな治療薬
2020年の米国眼科学会総会は11月14日から開催される予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響でバーチャル開催となり、講演はネットでの閲覧が可能となりました。
例年、総会前の2日間にRetina subspecialty dayと称し、網膜硝子体疾患に関する最近のトレンドについての発表やシンポジウムが行われます。
こちらもバーチャル開催となり、ネットでの閲覧が可能となりましたので、2日間の内容を閲覧しました。
AIを用いた診断やロボット手術についての講演もありましたが、加齢黄斑変性や糖尿病黄斑浮腫に対する治療法や治療薬に関する講演が多い印象でした。
その中にはブログで紹介した眼球壁に固定した小さなチューブに抗VEGF(血管内皮増殖因子)剤を時折補充するドラッグ・デリバリー・システムやVEGFとアンジオポエチン2の双方の働きを抑制する薬剤の長期成績も報告されていました。
私が今年のRetina subspecialty dayで最も注目した報告は、米国カリフォルニア州のKodiakSciences社が開発した滲出型加齢黄斑変性、糖尿病黄斑浮腫、網膜静脈閉塞による黄斑浮腫に対する治療薬で、抗VEGF抗体バイオポリマーコンジュゲートと呼ばれる製剤です。
この薬剤は上記疾患の既存治療薬と比べ、眼内に投与された後の長期間、眼内で高濃度を保つことができ、そのため、薬剤効果が長く持続する特徴を持っています。
講演では糖尿病黄斑浮腫に対する治療成績が報告され、初期投与の後、79%の症例で6か月以上、薬剤の再投与が不要であり、既存の薬剤と比べ、薬剤再投与の負担を減らすことができました。
また、この薬剤は滲出型加齢黄斑変性に対しても、初期投与の後、72%の症例で6か月以上、薬剤の再投与が不要であったと報告されています。
現在、滲出型加齢黄斑変性・糖尿病黄斑浮腫・網膜静脈閉塞黄斑浮腫の三疾患に対する本剤の有効性を検証する第3相臨床治験が行われています。
いずれの疾患も長期にわたり複数回の薬剤投与を要する症例が多いため、薬効が持続し投与間隔が延長する薬剤の開発が切望されています。
本薬剤の血中からの排泄は速やかで、全身および眼局所の安全性も確認されているようです。
来年のRetina subspecialty dayでは第3相試験の中間報告がなされるかもしれません。良い結果が待たれます。
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