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先日のブログで、新たなドラッグ・デリバリー・システムを用いた特発性黄斑部毛細血管拡張症に対する治療薬について紹介いたしました。
今回は、米国眼学会の機関誌 Ophthalmology に掲載された滲出型加齢黄斑変性に対する新たなドラッグ・デリバリー・システムを用いた治療薬についてです。
ドラッグ・デリバリー・システムとは、薬剤を的確に体内に届けるための方法です。
滲出型加齢黄斑変性に対する治療には、血管内皮増殖因子(VEGF)というタンパク質の働きを抑える薬剤が用いられており、抗VEGF療法と呼ばれています。
抗VEGF療法は、滲出型加齢黄斑変性によって低下した視力を改善させ、改善した視力を維持する効果が確証されており、第一選択の治療として世界中で行われています。
ただ視機能を維持するためには、何年にもわたり持続的・定期的に抗VEGF剤を目の中に注射する必要があります。
そこで現在、従来の抗VEGF剤と比べ薬剤効果が長持ちし、目の中への注射回数が少なくて済む薬剤の開発が行われており、薬効が長持ちする新薬が、日本でも来年には認可される予定です。
今回の論文で紹介されたドラッグ・デリバリー・システムは、シリコン製のチューブの中に抗VEGF剤を注入し、これを眼球壁に挿入します(図)。
眼内側のチューブの先端には抗VEGF剤が徐々に眼内へ放出される工夫がなされています。
抗VEGF剤の薬剤効果が減少すると、特殊な針を用いて眼外側のチューブの先端からチューブに残った古い抗VEGF剤を除去し、新たな抗VEGF剤を注入します。
これにより、眼内への注射よりも手軽に抗VEGF剤の補填を行うことができるようです。
論文では新たに開発されたドラッグ・デリバリー・システムの安全性と、抗VEGF剤の頻回眼内注射と同様の治療効果が報告されました。
このドラッグ・デリバリー・システムはさらに症例数を増やし、治験を継続中です。