糖尿病になったら定期的に眼底検査を!
国立国際医療研究センターらの研究チームは、
「レセプト(患者が医療機関で受けた保険診療について、医療機関が健康保険組合などの保険者に請求する医療報酬の明細書)情報・特定健診等データベース」(NDB)を用いて、
2015年度に糖尿病薬の定期処方を受けた外来患者が、糖尿病治療ガイドラインで推奨されている検査を年1回以上受けている割合を調査し、
その結果が、国際糖尿病連合が発行する科学雑誌「Diabetes Research and Clinical Practice」の電子版に掲載されました。
約415万人の対象患者のうち、
血糖コントロールの指標であるHbA1cなどを測定した患者は96.7%、
網膜症検査を受けたのは46.5%、
尿定性検査は67.3%、尿アルブミンまたは蛋白の定量検査は19.4%でした。
血糖コントロール指標の測定は良好でしたが、網膜症検査と尿検査の実施割合が低く、都道府県別・施設別のばらつきがあったとのことです。
網膜症検査について、検査を受けた患者割合が最も低かった県では37.5%、高かった県は51.0%で、全国的に網膜症検査がなおざりにされていることが浮き彫りとなりました。
厚労省の調査では、全国で糖尿病が強く疑われる方は約1,000万人。
糖尿病が悪化したまま放置すると、透析や失明、足切断などの重篤な合併症を引き起こすことがあります。
そのため、糖尿病診療では、血糖コントロールの他に、合併症を早期診断するために合併症検査を定期的に行うことが重要です。
糖尿病網膜症は、糖尿病が原因で目の網膜という組織が障害を受け、視力が低下する病気です。
糖尿病網膜症は視力障害の原因疾患の第3位です。
初期の糖尿病網膜症では自覚症状はありません。
糖尿病網膜症が進行し、網膜の中心部(黄斑)が浮腫んだり(糖尿病黄斑浮腫)、網膜表面に新たに発生した網膜新生血管が破れ、目の中に出血が起こると、視力低下などの症状が現れます。
糖尿病網膜症は自覚症状のないまま進行し、症状が出現した時には既に重症化している疾患です。
ですから、糖尿病に罹患したら内科の先生の指示に従い血糖コントロールに努めるとともに、眼科で定期的な眼底検査を行い、網膜症の有無や進行状況をチェックすることが大切です。
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