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風邪薬、緑内障の方は禁忌?

  • 緑内障の患者さんから
  • 「風邪薬を飲もうと思ったら、緑内障の人には禁忌って書いてあった」とか、
  • 「今度、お腹の検査を受けるんだけど、内科の先生から検査薬を使って良いかを眼科の先生に聞いて来てって言われた」などの質問を受けることがあります。
 
  • 風邪薬やアレルギーの薬、睡眠薬・胃薬などの添付文書には、「緑内障の方は注意が必要です」とか「緑内障の方は主治医にご確認ください」と記載されているものが結構あります。
   
  • 確かに、緑内障の中でも「閉塞隅角緑内障」の方は、これらのお薬の服用は要注意です。
  • 服薬により突然、眼圧(眼の中の圧力)が著しく高くなり、眼痛・頭痛・悪心・嘔吐といった症状が生じる、急性緑内障発作が生じる可能性があります。
 
  • これらの薬には、自律神経の一つである副交感神経の働きを抑えたり、交感神経の働きを促す成分が含まれています。
  • 副交感神経の抑制・交感神経の刺激により、虹彩(茶色目)が収縮し、瞳が大きくなります。
 
  • 眼の中には房水と呼ばれる液体が入っており、房水の産生と排泄がバランスよく行われることで、眼圧が一定に保たれています。
  • 房水の排泄孔が、虹彩の付け根付近にあります。
  • 虹彩の収縮により、房水の排泄孔への通り道(隅角)が狭くなります。
  • この通り道が元々狭い方が「狭隅角眼」で、緑内障へと進行すると「閉塞隅角緑内障」と呼ばれます。
 
  • 「狭隅角眼」「閉塞隅角緑内障」では、元々狭い房水の通り道が、虹彩の収縮により塞がってしまうことがあります。
  • 通り道がふさがると、房水が排泄されず、産生だけが行われるため、眼内の房水量が増加し、眼内の圧力、すなわち眼圧が上昇します。
  • 胃や腸などの消化器検査では、副交感神経の働きを抑制する薬を使用することが多く、この場合もやはり注意が必要です。
   
  • ですから、房水の通り道が広い方(開放隅角)は、上述の薬剤使用に問題がありません。
  • ちなみに日本人の緑内障で最も多いタイプの正常眼圧緑内障は、開放隅角です。
  • たとえ狭隅角眼でも、「レーザー虹彩切開術」あるいは「周辺虹彩切除術」という処置により、急性緑内障発作を予防することができますので、安心してお薬を使っていただくことができます。
   
  • 虹彩の収縮(瞳孔の拡大)は、薬の作用ばかりではなく、ご存知の通り、暗い場所でも起こります。
  • ですから、極度に狭隅角が進行している方は、日常の生活の中でも緑内障発作の危険があります。
  • 眼科では、このような方に「レーザー虹彩切開術」あるいは「周辺虹彩切除術」を行い、急性緑内障発作の予防を図っています。
 
  • つまり、眼科に通院している方なら、薬の使用は大丈夫。
  • これが冒頭のご質問への回答です。

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