暗所視支援眼鏡
- 以前のブログで「夜盲症」という、暗いところで見えにくい症状を取り上げました。夜盲症が生じる代表的な疾患の一つが、網膜色素変性症です。
- 夜盲症の患者さんは夜間の視力が不良となるため、日が暮れてからの日常生活が制限され、とても不便です。
- 職場からの帰宅時間を早めたり、職場の同僚との飲み会に参加できなかったり。朝の通学は可能でも、薄暮の帰宅時は家族の迎えが必要だったり。
- 4月18日から東京で「第123回日本眼科学会総会」が開催されます。
- 本学会の抄録集等を見ていると、「暗所視支援眼鏡」に目が留まりました。
- 九州大学眼科とHOYA株式会社が協力し、夜盲症のために暗所で物が見えにくい患者さんの支援を目的とした暗所視支援眼鏡を開発し、昨年11月から全国販売が開始されたそうです。
- この装置は眼鏡タイプのウェアラブル機器で、小型の高感度カメラで捉えた映像を、装用者の目の前のディスプレイに投影するという原理で、暗所でのわずかな光を増幅させることで、対象物の自然な色彩が再現された映像を目の前に映し出すことができます。
- 実際に、網膜色素変性症患者の会の協力を得て、患者さんに使用していただいた評価は、とても良かったそうです。
- 暗所視支援眼鏡が、夜盲で苦しんでいる患者さんの生活の質を高めることが期待されます。
- ただ、価格は40万円弱とまだ高額な装置です。
- また、すぐに使いこなせるわけではなく、慣れるための使用訓練が推奨されています。
- メガネ部分の重さは約130グラム、コントローラーが約350グラムです。通常のメガネと比べるとメガネ部分だけでもかなりの重量感です。
- 技術の進歩や多くの患者さんの要望を取り入れ、さらなる改良を遂げることで、暗所視支援眼鏡が普及し、夜盲症の克服につながることを期待します。
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