子供の間欠性外斜視の治療時期
- 外斜視は、左右どちらかの目が外側に向いている状態です。
- 常に外斜視の状態を恒常性外斜視、外斜視の時と正常な時がある状態が間欠性外斜視です。
- 間欠性外斜視の患者さんは、ふだんから目が外に向かないように目は調整しています。
- そのため、疲れやすく、体調が悪いときや眠い時には外斜視が出現します。
- 外斜視が出現した時、小児では片目でしか物を見ておらず、
- 物が2つに見えることは通常ありません。
- これは外にずれた目の情報を、見えていないかのように脳が適応するからです。
- そのため、立体視などの両眼視機能が低下します。
- アメリカでは子供の約1%、アジアでは4%が間欠性外斜視であると報告されています。
- 治療の主体は手術で、眼球を動かす筋肉の位置を付け変えます。
- 外斜視が恒常性になったり、外見上の問題が出そうな時点が手術の適応と考えられています。
- 間欠性外斜視は、古くから多くの研究がなされている病気ですが、
- 自然経過(無治療で病気がどのように経過するか)に関する報告はほとんどありませんでした。
- 米国の小児眼疾患研究班(Pediatric Eye Disease Investigator Group)は、
- 3歳から11歳の治療経験のない間欠性外斜視132名の自然経過を3年間観察し、
- その結果をアメリカ眼学会の機関誌Ophthalmologyに報告しました。
- 3年間の経過観察中に、目が外に向く角度が大きくなったり、恒常性外斜視になったり、
- 立体視機能が低下した患児はほとんどいませんでした。
- 逆に、経過観察前後の検査結果を比較すると、3年間の経過観察期間中に、
- 目が外に向く角度が小さくなり、立体視機能も改善していました。
- 3歳から11歳の間欠性外斜視の患児に対し、
- 視機能の観点からは早急な手術の必要はないと結論付けています。
- ただ、お子さんにとっては、外見上の問題も重要です。
- 学童期になると、ご本人や周りが気にするようになる場合があります。
- 論文ではこの点も考慮し、治療の選択を行うようにと述べています。
- 眼科での定期検査が大切ですね。
カテゴリー
- お知らせ (34)
- ブログ (333)
- iPS細胞 (17)
- IT眼症 (8)
- OCTアンギオ (4)
- アルツハイマー病 (6)
- アレルギー性結膜炎 (5)
- お困りごと解決情報 (17)
- こんな症状が出たら (34)
- サプリメント (11)
- スタッフから (5)
- ドライアイ (13)
- 中心性漿液性網脈絡膜症 (2)
- 人工知能(AI) (11)
- 加齢黄斑変性 (76)
- 外斜視 (1)
- 抗がん剤による眼障害 (1)
- 白内障 (14)
- 看護からのお知らせ (1)
- 眼精疲労 (11)
- 糖尿病網膜症 (31)
- 紫外線 (1)
- 紫外線、ブルーライト (6)
- 網膜前膜 (2)
- 網膜剥離 (12)
- 網膜動脈閉塞 (6)
- 網膜色素変性症 (7)
- 網膜静脈閉塞 (7)
- 緑内障 (21)
- 色覚多様性 (2)
- 講演会 (24)
- 近況報告 (72)
- 近視予防 (24)
- 飛蚊症・光視症 (13)
- 黄斑円孔 (4)
- 黄斑前膜 (2)
- 未分類 (8)
アーカイブ
最新の記事
- 2023.9.21
- 子供たちの目を守るために:文部科学省啓発資料
- 2023.9.13
- カルシウム拮抗薬は緑内障を進行させる?
- 2023.9.10
- 論文がJpn J Ophthalmolに受理されました
- 2023.9.1
- 萎縮型加齢黄斑変性に対する治療薬
- 2023.8.24
- 遺伝性網膜ジストロフィーの遺伝子治療薬ルクスターナ
- 2023.8.19
- 総脂質と飽和脂肪酸の摂取比率が多い糖尿病患者は、糖尿病網膜症になりやすい
- 2023.8.14
- 受動喫煙の子供は近視になりやすい
- 2023.8.5
- Reducing the Risks of Nuclear War—The Role of Health Professionals
- 2023.7.27
- 盛夏の網膜動脈閉塞・静脈閉塞症
- 2023.7.22
- 視機能が悪いと認知症になりやすい