ドライアイ サプリメント
- 5月3日、世界的に権威のある医学雑誌The New England Journal of Medicineに、
- ドライアイ治療への有効性が示唆されているオメガ3脂肪酸(n-3脂肪酸)サプリメントの効果について検証した研究の論文が掲載されました。
- この研究では中等度から重度のドライアイ患者535例を、オメガ3脂肪酸かオリーブオイルを内服する2つのグループに分け、1年間の経過を調べました。
- オリーブオイル内服グループは、オメガ3脂肪酸の有効性を検証するための比較対照として設定されました。
- オメガ3脂肪酸グループは魚由来のエイコサペンタエン酸(EPA)を1日2,000mgとドコサヘキサエン酸(DHA)を1日1,000mg摂取、
- オリーブオイルグループはオリーブオイルを1日1,000mg(68%オレイン酸、13%パルミチン酸、11%リノレン酸)(テースプーン1杯)摂取しました。
- 1年間摂取を続けた結果、どちらのグループも自覚症状は明らかに軽減し、
- 眼表面の細胞脱落は改善し、涙膜の安定性も向上しました。
- ただ、改善の度合いはグループ間で差がなかったそうです。
- 論文ではオメガ3脂肪酸のドライアイに対するサプリメントとしての有効性は確認できなかったと結論付けています。
- とはいえ、症状や検査所見は明らかに改善していますので、
- 研究に参加した患者さんは症状が改善し喜んでおられると思います。
- EPAやDHA、オレイン酸やリノレン酸は、テレビ番組やコマーシャルで「身体に良い」と紹介されることがある物質です。
- オリーブオイルの抗酸化作用などがドライアイを改善し、オメガ3脂肪酸との間に治療効果の差が生まれなかったのかもしれません。
- いずれもドライアイの自覚症状・他覚所見を改善していますので、治療効果はありそうです。
- 現在は点眼薬のみが治療の主体となっているドライアイですが、
- 点眼では症状のコントロールが思わしくないドライアイの患者さんは
- オメガ3脂肪酸やオリーブオイルを試してみる価値があるかもしれません。
- ただ数パーセントの方が下痢を経験されたそうですので、ご留意ください。
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