網膜剥離の術後は飛行機に乗っちゃいけないの?
- 裂孔原性網膜剥離の術後間もない患者さんから、
- 「いつから飛行機に乗って良いのですか?」とか、
- 「術後は飛行機に乗っちゃいけないと人から言われた」というご質問をいただくことがあります。
- 網膜剥離は、網膜が眼球壁から剥がれる病気です。
- 網膜が剥がれる病気はいろいろありますが、
- 日常会話で網膜剥離と言うと、裂孔原性網膜剥離を指すことが多いようです。
- 裂孔原性網膜剥離では、網膜に破れ目(網膜裂孔)ができ、
- 眼の中の液体が裂孔を通って網膜の下に入り込み、網膜剥離が発生します。
- 剥離網膜の範囲は拡大し、視野欠損が進行します。
- 手術以外に治療法はありません。
- 中・高年の患者さんには硝子体手術を第一選択として施行することが多いです。
- 硝子体手術では、網膜が眼球壁に復位しやすいように眼内を処理し(硝子体をしっかり切除する)、
- 次に網膜下に貯まった液体を除去、同時に眼内を空気に置き換えます。
- 術後は数日、眼内の空気で網膜裂孔を圧迫し、網膜裂孔をしっかり閉鎖させます。
- 空気で圧迫しなくても、網膜裂孔が開放し網膜剥離が再発しなければ、一安心です。
- 手術終了時に眼内はほぼ空気に置換されていますが、術後経過にともない空気は吸収され、
- もともと眼内を満たしている液体に眼内は戻っていきます。
- 眼内の空気は術後10日ほどで完全に消失します。
- 眼内に空気が残っている期間、気圧の低い場所に行ってはいけないのです。
- 気圧が低いと空気(気体)の体積が増加します。
- 眼内の空気が膨張すると眼内の圧力(眼圧)が上昇する危険性があります。
- 上空の飛行機機内は地上と比べ気圧が低いため、
- 眼内に空気が残っている方は眼圧上昇のリスクを避けるため、機上を控える必要があります。
- ところで、眼内の空気が減ると気泡が複数個に分かれることがあります。
- 空気の部分は見えにくいので、複数個の暗い輪が出現したと心配される患者さんがおられます。
- 空気の分離なら全く問題はありません。ただ他の要因があってはいけませんので、主治医にご相談ください。
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